東日本大震災の後、大半の企業がBCP(事業継続計画)に目を向けている。そのBCPのために今や欠かせないのがデータセンターである。複数の堅牢な設備にサーバーシステムを設置しておけば、広域災害でも事業継続が可能になる。

 ただ、データセンター内のシステム運用は次第に難易度が上がってきている。原因は「仮想化」や、サーバー周辺のネットワークの複雑化だ。経済状況の低迷もあり、いまやデータセンターにおいてさえ、必ずしも潤沢には運用要員を確保できない。このため運用の手間を省く手段・手法の確立が重要な課題となっている。

 実は最近、この課題を解決できる技術が実用段階に入りつつある。一つが「OpenFlow」、もう一つが「仮想アプライアンス」である。そこで本稿では、これらの新しい仕組みの効果について解説する。

複雑化の一途をたどるネットワーク

 「仮想化」と言うと、一般にサーバーの仮想化を思い浮かべるだろう。ハイパーバイザーと呼ばれる仮想化ソフトウエアを使用して、サーバーハードウエア(以下、物理サーバー)上に仮想的なハードウエア環境(仮想サーバー)を実現し、物理的に1台のマシンで複数サーバーを動作させる技術である。代表的なハイパーバイザーにはVMware ESX/ESXiMicrosoft Hyper-VCitrix XenServerKVMなどがある。

 サーバー仮想化の最大のメリットは、物理サーバーの台数を減らせること。サーバーのハードウエア費用だけでなく、設置スペースや電力使用量なども減らすことができ、コスト削減に大きく貢献する。

 また仮想化環境では、物理サーバーのリソースが足りなくなってきた場合に、サービスを止めないまま別の物理サーバーに仮想マシンを移動させる「ライブマイグレーション」という仕組みを利用できる。この仕組みによりリソースを有効活用できるほか、別のデータセンターに仮想サーバーを移動させられるようになるため、ディザスタリカバリーの技術としても期待されている。

 ただ冒頭にも述べたように、仮想化の導入によってデータセンター内のシステムアーキテクチャーはますます複雑になり、運用が難しくなってきている。特に大きな影響を及ぼすのが、バーチャルLAN(VLAN)である。ネットワークが論理的に分割され、様々なトラフィックが混在するようになる。ネットワーク機器へのVLAN設定も必要になる。LANスイッチやファイアウォール、ロードバランサーなどのほか、仮想化環境ではハイパーバイザーに実装される仮想スイッチにもVLAN設定が必要だ。

 要素が多くなれば、設定ミスの増加が懸念される。様々なシステムが同一ハードウエアに相乗りする仮想化環境では障害の影響も大きくなる。にもかかわらず、設定変更を余儀なくされる場面は少なくない。

 例えばライブマイグレーションを使ってサービスを継続したまま仮想サーバーを移動させる場合は、仮想サーバーの移動に合わせて、仮想スイッチを含むネットワーク機器のVLAN設定変更などが必要になることがある。これをすべて手作業で実施するのは難しい。

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