オフィス業務には必ず、何らかのドキュメントがついて回る。そして、そのほとんどが紙に印刷されたものであることは、自席の周りを見渡せば明らかだろう。

表1●ペーパーレス化の効果
ペーパーレス化には、デジタルデータを紙に出力しないという側面と、既に紙として存在するドキュメントをデジタル化するという側面があり、それぞれにメリットがある。
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 そうしたオフィスにあふれる紙をなくすペーパーレス化は、先進的な企業ではかなり以前から試みられてきた。ペーパーレス化には、コスト削減のほか、業務の効率化や生産性の向上、業務品質やオフィス環境の改善など、様々なメリットがあるからだ(表1)。

 ただ、その範囲は限られており、紙を置き換えられない業務は多かった。特に顧客と直接やり取りする「現場」に近い業務では、紙をなくすのが難しい。

 「バックオフィス側のペーパーレス化は、実はそれほど難しくない。しかし、システム管理者の目の届かない営業の現場では、最も生産性の高い手段を選択することになるので、使いやすいものでないと浸透しない」。いち早くiPadによるペーパーレス化に取り組んだガリパーインターナショナル 経営企画室の椛田泰行氏はこう説明する。

 2010年に登場した米アップルのiPadは、現場のペーパーレス化を実現するうえで強力な武器になる。「ペーパーレス化には何度もトライしてきた。『紙の代わりにパソコンを使ってください』と言っても定着しなかった。しかし、iPadならもう一度トライできるかもしれないと思った」と椛田氏は明かす。

広がるiPadによるペーパーレス化

 このようなiPadを使ったペーパーレス化の動きが、日本国内の企業に広がり始めている。代表的な事例は、今回の連載の中で取り上げるガリバーインターナショナルや三菱UFJインフォメーションテクノロジーだ。

 このほか、NTTデータは2011年4月から300台のiPadを導入し、紙媒体の新入社員用研修資料を置き換える。これにより約160万枚の紙教材を半減し、約80万枚分の紙を節約するという。2010年に150台のiPadの試験導入を発表したコクヨも、その目的の一つとしてペーパーレス化を挙げている。

 並行して、具体的なツールも出始めている。例えば、ペーパーレス会議を実現するiPad向け会議アプリケーションが登場している。NRIネットワークコミュニケーションズの「iPad会議システム」やNECネッツエスアイの「SmoothMeeting」だ。

 一連の動きは「ペーパーレス化の“第三の波”」とも言えるものだ。富士ゼロックス 研究技術開発本部 コミュニケーション・デザイン・オフィスの大村賢悟シニアリサーチャーによると、これまでにペーパーレス化の波は二つあった(図1)。第一の波は1970年代中頃に、第二の波は1990年代中頃に起こった。そして今、iPadの登場をきっかけに第三の波が到来している。

図1●ペーパーレス化の“第三の波”が到来
IT技術の進化によりこれまでも企業でのペーパーレス化は徐々に進んできたが、ここにきてペーパーレス化のための強力なツールが出そろった。
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 ペーパーレス化を促すタブレット端末は、iPad以外にも登場する。米グーグルは2011年1月開催の「2011 International CES」(米国ネバダ州ラスベガス)で、タブレット向けに機能を一新した「Android 3.0」(Honeycomb=ハニカム)を披露した。iPadと同等の使い勝手を持つAndroidのタブレット端末が登場すれば、企業のペーパーレス化の取り組みはさらに活発化していく可能性が高い。

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