まずは駆け付ける。そして、相手(顧客)に役立つことを考える。できることなら、先回りして手を差し伸べられるようにする---。

 人と人の絆、企業と企業の絆があることの大切さを、ユーザー各社は再認識した。これが、東日本大震災から2カ月後に実施した今回の「第16回顧客満足度調査」にはっきりと表れた結論だ。

 今回の震災は、システム部門にとっては、ITベンダーとの関係や存在価値を見直すきっかけにもなった。

 前回の顧客満足度調査では、満足度を決定づける要因が、上流工程における要件定義の正確さや製品の品質から、「1円でも安く、1秒でも早く」に変わってきていた。景気低迷やクラウドコンピューティングの広まりにより、ユーザー企業とITベンダーの関係は、冷たく希薄になっていた。だが今回の震災で、そうした傾向が大きく変化したのだ。

 そこで今回の特集記事は、前回までと構成を大きく変えた。従来は調査の結果報告を柱にしてきたが、今回はユーザー事例を手厚くし、調査票だけでは吸い上げることができない現場の生の声を大きく報じることにした。

 震災後、人手が足りず情報が錯綜するなかで、ユーザー各社のシステム部門は奔走した。その経験談の中には、有事に直面した際に初めて見えてくる本音・本質が詰まっている。そうしたユーザー企業の生の声も追って紹介していく。

半数以上の分野で首位交代

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 今回の調査対象企業・団体や調査方法は前回とほぼ同じ。ネットワークサービス分野の分類を変更したこと以外は、調査の対象や方法は変わっていない。ところが、1588社・団体の回答を集計したところ、23分野のうち半分以上の12分野で首位が入れ替わった。

 例えば、システム開発関連サービスでは、日本ユニシスが2007年以来の首位となった。システム運用関連サービスでは前回2位に後退した日本IBMが首位に返り咲いた。UNIXサーバーでは富士通が、ストレージ専用装置では日立製作所がそれぞれ雪辱を果たし1位を獲得した。

 今回の調査では、調査対象分野で初めて1位を獲得するITベンダーも多かった。富士ゼロックスはITコンサルティング/上流設計関連サービスで、東芝はノートPCで、アシストは情報分析・意思決定支援ソフトで、そして富士通はデスクトップPCとネットワーク機器、Webアプリケーションサーバーの3分野で初の栄冠を手にした。

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製品力から人間力へ

 これほど順位が入れ替わったのはなぜか。顧客ニーズに即した製品・サービスを提供するためにITベンダー各社が努力した成果である。だがそれ以上に、今回の震災によってユーザー各社の評価軸が変わったことで、順位が大きく変動した。

 例えば、製品・サービスの「価格」や「機能」ではなく、ITベンダーの「提案力」や「問い合わせへの対応」といった“人間力”に関連する部分を重視する傾向が強まった。

 現在のITベンダーが提供する製品・サービスを使い続けるかどうかを示す「継続意向度」においても、ITベンダーの人間力を重視する傾向が表れた。

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