クラウドサービスを支える基盤であるデータセンターも評価した。今回は全部で32件の有効回答があった。

図7●データセンター部門のベストサービス
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 データセンター部門のベストサービスに選出されたのはいずれも通信事業者だった。NTTコミュニケーションズ、KDDI、IIJの3社である。このうちKDDIは前回に続く選出だ。

 3社とも各項目で満遍なく高い評価を得た。特に「建物の性能」や「保守サポート」に関する評価が高かった。

天井高3m以上が当たり前

 排熱処理の効率の観点から、データセンターには十分な天井高が求められる。天井高が低いとサーバーが排出する熱を持った空気が天井に沿ってラック前面に回り込み、サーバーの動作が不安定になることがあるからだ。

 特に最近はブレードサーバーなど高集積なサーバーを使うため、天井の高さが問題になりやすい。サーバーの高集積化が今後さらに進むのは確実なので、データセンターの天井高はこれまで以上に重要な差異化要因になるだろう。

図8●データセンターのサービスレベルの相場
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 そこで今回の調査では、データセンターの天井高について質問した(図8左上)。最も多かった回答は「3m以上」で、32件中15件だった。「2.7m以上3m未満」も5件あった。

 米国のデータセンター規格「TIA-942」によると,「TIER 3」や「TIER 4」といった高規格データセンターは最低3mの天井高が必要と規定されている。

耐荷重は大きな開き

 データセンターの床が1 u当たりどのくらいの加重に耐えられるのかも聞いた。天井高と同様、サーバーの集積度が上がると問題になりやすい項目である。

 「2000kg以上」を選択したのは、有効回答32件中1件だけだった。ベストサービスのNTTコミュニケーションズとKDDIは「1500kg以上2000kg未満」、IIJは「1000kg以上1500kg未満」だった。

 「750kg未満」と回答したサービスもあり、耐荷重はセンターによって大きく差があることがわかった。全体として好成績のデータセンターほど耐荷重が大きい傾向がみられた。

 1ラックに提供可能な実効電源容量も好成績のデータセンターほど大きかった。ベストサービスのうちNTTコミュニケーションズとIIJのデータセンターは、現時点で最高水準の「10kVA以上」と回答した。

 日本で気になる耐震性能については、全体の3分の2に当たる21件が「震度7クラス以上に対応可能」とした。それ以外のベンダーも非公開を除き、「震度6クラス以上に対応可能」だった。

IPv6対応はまだ少ない

 IPv4アドレスの枯渇が近づいている。国際団体IANAが管理していた未使用のグローバルIPアドレス(IPv4アドレス)は今年2月3日に底を突いた。 このままでは多数のサーバーを擁してサービスを提供するデータセンター事業者は、深刻な事態を迎えかねない。

 ところが次世代のIPv6アドレスへの移行は遅々として進んでいない。今回の調査でIPv6接続サービスを「商用サービスで提供済み」と答えたのは32件中わずか6件、「試験サービスで提供済み」は2件だった(図8右下)。

 「提供意向あり」が13件と、将来的にはほとんどのサービスが対応するとみられる。だが、対応時期によってはユーザー企業に影響が及ぶ可能性もゼロではない。

データセンター部門の調査内容
 データセンター部門の調査項目は合計32。各項目は(1)サービス内容、(2)規模関連、(3)建物の性能関連、(4)ネットワーク関連、(5)料金関連、(6)保守サポート関連、(7)実績関連の7分野に分かれる。
 調査結果は「クラウドらしさ」と「既存システムからの移行のしやすさ」を重視して評価した。データセンターの数や所在地、障害対策の状況、料金の明快さ、実績、情報公開度などを重くみた。
 全体で100点満点となるように配点し、平均値が50、標準偏差が10となるように標準化して総合スコアを算出した。総合スコアが65以上だったサービスを「ベストサービス」として認定した。
【調査項目】
(1)サービス内容(配点なし)
 サービスの内容
(2)規模関連(20点)
 国内のデータセンター拠点数、国内のデータセンター所在地、海外のデータセンター拠点数、海外のデータセンター所在地、全データセンターの延床面積
(3)建物の性能関連(34点)
 対象データセンター名、所有形態、耐震性能、外部機関によるセキュリティ監査・認証、1 u当たりの床荷重、天井高、床下高、1ラック当たりの実効電源容量、電源供給経路の冗長度、非常用電源装置の冗長度、非常用電源装置の供給可能時間
(4)ネットワーク関連(16点)
 接続可能なインターネット回線業者、接続可能な閉域網回線業者、提供可能なネットワーク付加サービス、IPv6接続サービスの提供
(5)料金関連(8点)
 最少構成時の初期費用、最少構成時のラック月額使用料金、最少構成時の回線使用料金、最小構成の内容、最低契約期間
(6)保守サポート関連(12点)
 サポート時間、提供している運用アウトソーシング、専任担当者のアサイン
(7)実績関連(10点)
 日本国内における法人ユーザー数、全世界における法人ユーザー数