スマートフォンやタブレット端末など、いわゆるスマートデバイスが本格的に普及し始めている。これらの新端末は各社が次々に製品を投入しており、まさに百花繚乱といったところである。

 この流れは個人の携帯電話がスマートフォンに替わるといった現象にとどまらず、ビジネスの世界のIT利用形態をも大きく変える勢いを持っている。特にビジネス利用の面では、日本はiモードの時代から積極的に携帯電話を業務システムの端末として利用してきた経緯もあり、新端末が普及する土壌は既に十分にできている。

 より使い勝手の良い新端末は、様々なセンサーを搭載している、様々なアプリを搭載できるなどの特徴もあり、多様な可能性を秘めている。これまで携帯電話をビジネス端末として利用してこなかったユーザーに対しても、今までやりたくてもできなかったことへのチャレンジを促すことになるはずだ。

 そこで今回は、ビジネスに新端末を活用するケースとして、自社の顧客向けに配布する発注用端末をスマートデバイスで実現する案件を想定。通信事業者やシステムインテグレータなどに提案を求めた。

 筆者はRFP(提案依頼書)作成のコンサルティングを商売としている。そこで以下では、一般的なRFP作成時の注意事項という観点を含めて、RFPの内容を見ていく。

タイムリーな情報提供で囲い込み

 今回のモデルは建設業向けの金物・資材製造および卸売り販売を手掛けるABC株式会社である。売上高90億円、従業員数が200人の中小企業で、取り扱い製品は自社製品が6000点、仕入れ商品は2万点と少量多品種を扱うビジネスを行っている。

 営業拠点は全国に10カ所あり、5000件の顧客をカバーしている。なお、同社は5年前に基幹システムとして国産のERP(統合基幹業務システム)パッケージを導入し、販売管理、在庫管理および財務・経理などの業務に活用している。

 RFP作成のコンサルティングを実施する際、いつも繰り返し言うのが「趣旨=目的・背景・狙いをきちんとまとめること」である。これはITベンダーにとっても重要な視点で、筆者は常々、「RFPに書かれている目的・背景・狙いは単なる前書きではなく、非常に重要なメッセージなのでしっかりと理解しなければならない」と注意を促している。

 このABC社の場合、新たな営業戦略として取り組もうとしているのは、新端末を顧客に配布して、自社の商品情報をタイムリーに提供し、さらにそこから商品を直接発注できるようにすること(図1)。これにより、製品の売り上げ向上や販売コスト削減を図ろうという企画である(図2)。

図1●プロジェクトの目的・背景・狙い
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図2●提案を依頼するシステムの概要と提案範囲
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 これまでは、紙媒体で価格表やカタログを配布してきたが、昨今の市場変化のスピードを考えると、更新頻度が低く適切な情報提供ができなくなってきている。そこで3カ月に1度から月1回に、情報の更新頻度を上げようと考えている。

 同時に、キーボード操作が苦手な顧客が多いことから、「簡単な操作性」を実現すべく、タッチパネル操作を要求している。建設用金具や資材を扱うABC社の顧客は、ほとんどが建設会社であり、端末を使用する場所は事務所とは限らない。倉庫や工事現場で利用することも考えると、キーボード操作ではなく簡単なタッチパネル操作ができることが重要な狙いとなる。

ポイントはココ!
■端末利用者の属性を考慮し、タッチパネル操作など、直感的な操作性を重視する
■セキュリティ対策では、要件提示ではなくベンダーからの情報提供を求める手もある

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