以下の記事は2007年から2010年にかけて日経ソリューションプロバイダ、日経コンピュータに連載された記事の1つです。執筆時の情報に基づいており、取り上げた製品・サービスには現時点で古くなっているものもありますが、商談の経緯を知ることはユーザー企業にとって有益と考え、再掲しました。

顧客の要望を聞き、営業担当者がまとめたシステム概要図。これを見た顧客はシステム導入計画の“欠陥”に気付いた。さらなる顧客支援が、今度は顧客が突破口を開く後押しとなる。

 「我々がやりたかった単品管理は無理だ。このプロジェクトは見送るべきか」。

 音頭金属の社長である音頭則靖は、提案書を見つめながら心の中でつぶやいた。提案書は、RFID(無線ICタグ)ソリューションを提案したソーバル(東京都大田区)の営業部第2営業グループ次長である脇義昌が、音頭金属に対し作成したものだ。

 音頭が注視するページには生産工程管理システムの概要図があった。音頭の考えるRFIDの活用方法をヒアリングし、分かりやすく脇がまとめたものである。

 音頭金属の主力事業は「カウンターウェイト」と呼ぶ、クレーンやショベルなどの重機に取り付けるおもりの製造だ。音頭は脇が作った図を見て、自分たちが想定したRFIDの活用方法では、同社が製造する鉄の鋳物を単品管理できないことに気付いた。

 音頭は目の前の脇にこの件を話すことをためらった。脇が音頭を2度目に訪問した、2007年11月中旬のことである。

リアルタイムで工程管理

 音頭が、自社の生産現場にRFIDの導入を検討し始めたのは2007年春のこと。鋳物の仕掛かり品や完成品に単品管理を導入し、生産工程をリアルタイムで把握するためである。

 製品ごとに工程の進ちょくが分かれば、生産現場の効率化に取り組める。正確な納期の把握や在庫管理も可能になる。

 2007年5月に東京都内で開催された展示会「RFIDソリューションEXPO」は、音頭が製品情報を収集する絶好の機会になった。音頭はITベンダー各社のブースに精力的に足を運んだ()。

表●音頭金属がソーバルに発注するまでの経緯
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 発見は多かった。最大のものは、金属製品にRFIDを張り付けると読み書きが困難になることだ。管理対象が鉄の塊である音頭金属にとって、最も注意すべき点だ。

 大手メーカーは金属に対応したRFIDも出展していた。アンテナに特殊な素材を用いたもので、タグ1個の価格は数千円する。

 音頭は、安価なタグで金属製品を管理できるソリューションを探した。興味を持ったのが、ソーバルが出展していた生産工程管理システムである。ある製造業での導入例として、製品ではなく生産指示書にタグを取り付けていた。従業員が作業時に指示書をリーダーにかざすことで、工程を管理する。「この方法なら、当社でも導入できる」と音頭は考えた。

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