日産自動車の新型「マーチ」の開発で、全販売地域の要求仕様を洗い出し、全ラインアップを構築し、共通部分を決めた後にすること。それは共通部分の原価低減である。マーチの開発責任者で同社Nissan PV第一製品開発本部車両開発主幹(Vプラットフォーム)の小林毅氏によれば、共通部分でどれだけ原価低減できるかが、価格競争力を大きく左右するという。

 新型マーチの共通部分は、プラットフォームを含むホワイトボディ全体、ドア、シート骨格、インスツルメント・パネルなど車両全体の大部分を占めている。従って、必然的に共通部分の原価低減に多くの工数を割いた。

 原価を下げるために、何をしたか。小林氏によれば、基本的には軽量化だという。「軽くするには、材料使用量や部品点数を減らさなければならないので、結果的に安くなる」(同氏)。

 前述の通り、共通部分は全販売地域の要求仕様を満たすような設計にする必要があるので、どうしても「余裕のある設計」にならざるを得ない。個別に見れば過剰設計ともいえるわけで、その余裕をどこまで切り詰められるかが勝負になる。具体的には、要求仕様の多少のバラつきを吸収できるような「筋のいい」(同氏)設計が不可欠となる。そうした中で軽量化に挑んだ。

真っ直ぐな形状に

 結論を先にいうと、例えばホワイトボディでは約20kgの軽量化に成功している。「旧型のホワイトボディと単純に比較すると50kg程度の軽量化が可能だったが、そのうち30kgは剛性の向上に振り向けた」(小林氏)。単に軽くするだけではなく、剛性も高めることで、要求仕様のバラつきに強い設計を実現している。

 そのような設計の具体例としては、フロント・サイドメンバが挙げられる。フロント・サイドメンバは、エンジンルーム下方の左右両側に、車両の前後方向に沿って配置されている鋼板製の部材だ。このフロント・サイドメンバについて、長手方向の急激な断面形状の変化やカーブなどがない、真っすぐな形状にしている。

フロント・サイドメンバ
真っすぐな形状にしたのがポイント。フロント・サイドメンバ以外の骨格に関しても、強度や剛性を確保しやすくするため、極力真っすぐにしている。

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