情報システム部門(IT部門)は経営・ビジネスに貢献する戦略部門に変わらなければならない。だが、やり方を変えられない─。こうした企業が多いなか、改革を成功させた例が出てきた。強いリーダーシップのもと、新技術・新手法を駆使したり利用部門を巻き込んだりして変貌を遂げた5社の「ビフォーアフター」に迫った。

 「以前とはずいぶん違う」。ミサワホームの若手社員の一人は、現在のIT部員の対応をこう評する。「以前は何をしているのか分からず、近づきにくい雰囲気があった。今では、こちらから相談したいと思える存在になっている。我々ユーザーのことを考えてくれているのが、IT部員の言葉や態度で分かるからだ」。

 この変化は、1年がかりで進めてきたIT部門改革の表れだ。これまで抱いてきた内製へのこだわりを捨て、外部の技術やサービスを活用する方針に転換。そのぶん、開発した新機能やサービスの説明や今後のIT活用に向けた要望のヒアリングなど、利用部門の業務支援に充てる時間を増やした。「改革は道半ばだが、IT部員の目が自然と外に向くようになった」。企画管理本部情報システム部の宮本眞一部長は、こう話す。

 日本郵船のIT子会社を含むIT要員は総勢80人。その中でエース級の8人が2009年4月から順次、利用部門に異動。現在も部門内で業務改革を主導している。

 日本郵船のIT子会社であるNYK Business Systems(NBS)の武田敏明社長は、「以前は利用部門から指示を受けるのみで、内容もシステムの改修が中心だった。利用部門と共に業務改革を進めている現在とは大違いだ」と説明する。

 「コスト削減といった“守りのIT”ではなく、儲かるシステムを作るといった“攻めのIT”を重視するIT部門が増えている」。日本情報システム・ユーザー協会の金修 専務理事は各種調査やユーザー企業へのインタビューなどを通してこう実感していると話す。

 問題は、攻めのITを実践すべくIT部門を改革する必要性は分かっているが、実践に踏み切れない企業が多いことだ。その中でミサワホームや日本郵船、さらにユナイテッドアローズ、足立区役所、近鉄エクスプレスはIT部門改革に挑み成果を上げた(図1)。

図1●IT部門の改革に挑んだ5社・組織のビフォーアフター
新技術を活用したり利用部門を巻き込んだりして改革を進めた
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 5社・組織に共通するのは、強いリーダーシップで改革に臨んだことだ。ユナイテッドアローズ、ミサワホーム、足立区役所は加えてスマートフォンやクラウドなどの新技術・新手法の活用を契機に部門改革を進めた。近鉄エクスプレスと日本郵船は利用部門の巻き込みが鍵となった。次回から5社・組織のIT部門におけるビフォーアフターを見ていこう