前回は、IT製品(ソフトウエアパッケージ、ハードウエア、クラウドサービスなど。以下「製品」)を正しく選定するためには、製品とSIベンダーのどちらを優先して検討すべきなのか、について検討した。そして、自社に好循環をもたらすSIベンダーを優先して選定すべきである、と述べた。

 今回は、製品選定の際の製品ベンダー(以下「ベンダー」と略す)の位置づけについて述べてみたい。

製品とベンダーのどちらを優先しますか

 前回の「製品とSIベンダーのどちらが重要なのか」という問いよりも、今回のほうが回答が簡単かも知れない。そして、その回答は次の2つのパターンに集約されるであろう。


  • ベンダーロックインは嫌なので、ベンダーで決めることはなく製品を選択する。
  • うちは〇×社製品に統一する方針なので、ベンダーを選択する。

 つまり、ベンダーロックインを嫌うか否か、が今回の議論のポイントとなる。ここで改めてベンダーロックインの意味を整理しておきたい。ベンダーロックインとは、特定ベンダーから提供される製品を優先的に採用した場合、他のベンダーから提供される製品への乗り換えが困難になる現象のことを指す。この場合、製品調達の選択肢が限られベンダー間競争がなくなるため、購買側よりもベンダーのほうが価格の決定権を持つことになる。結果として、調達および運用コストが増大することが多い。

 公的機関の場合、調達先が特定企業に偏ることは許されないため、ベンダーロックインという選択肢はない。本稿では以下、民間企業に限って議論することとしたい。

 おそらく日本は世界中でもっともベンダーロックインを嫌う民間企業が多い国のひとつであろう。それは、かつてのメインフレーム時代の苦い体験を引きずっているからだと思われる。

 メインフレーム時代、各メインフレームメーカーは独自アーキテクチャを採用していた。この結果、ユーザー企業側にとっては製品の選択肢は非常に限られており、価格決定権はメーカー側にあった。そのためITコストは高騰し、「情報システムは非常に金の掛かる部門」と社内で揶揄(やゆ)されることが多かった。この時代を経験した人が現在IT部門の長にいる場合、特にベンダーロックインを嫌う傾向にあると思われる。

 ベンダーとひと口にいっても、多くの種類のベンダーが存在する。IBM、オラクル、マイクロソフト、ヒューレット・パッカード(HP)のように、アプリケーションからOS、ハードウエアまでありとあらゆる領域のIT製品を提供するメガベンダー。SAP、シスコシステムズ、ヴイエムウェア、シトリックス・システムズのような世界規模で特定領域に強いベンダー。ソフトウエア製品に特化し、国内中心に展開しているISV(独立系ソフトベンダー)と呼ばれるベンダー。このように多種多様なベンダーが存在する。今回の論点はベンダーロックインであるため、ISVは議論の対象外とする。

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