さらに「組立ラインへの供給物」に振るIDは,号機や機種系列を超えて一意に決まるものにする。これも「繰り返し」を徹底させるためだ。

 標準モジュールといっても,時間がたつと,改良のために設計変更が必要になることがある。あるいは,以前造った製品の部品を一斉に取り替える,といった事由が発生するかもしれない。こうしたとき,当該の標準モジュールがどの製品に使われているかを調べるには,製品個々のBOMで同モジュールのIDがあるかどうか探せばよい。

 前述の精密事務機器メーカーの場合には,最初にその標準モジュールを使った製品を「本籍」とし,その情報をBOMに持たせている(図8)。BOMの構成要素となる標準モジュールに設計変更があるかどうか(その変更内容がどうか)についての情報を得るには,本籍のBOMを見に行けばよい。受注生産においてもこの仕組みが最適かどうか,企業によって事情は変わるが,基本的に変更の及ぶ範囲を特定する仕組みは何かしら必要になるはずだ。

図8●モジュールに対する改良,設計変更
機種にまたがって,同じ識別番号(ID)を付けておくことで,影響範囲を特定する。最初にそのモジュールを使った機種を「本籍」としておき,流用した機種のBOMから参照できるようにしておく(ある精密機器メーカーの例)。
[画像のクリックで拡大表示]

 さらに,事業所間,事業部間でIDを共通化すれば,それだけ「繰り返し」の範囲を広げられる。BOMに関してよく「品番統一」の必要性が言われるのも,「繰り返し」であることの情報を的確に伝えるためといえる。

設計者の負荷軽減が課題

 実際にこの仕組みを運用しようとするとき,多くの識者が指摘するのは「設計者の立場」だ。前述の精密事務機器メーカーの場合,生産準備での変更をEBOMに反映させる作業は,設計者の担当になっており,これはほかの企業でも一般的と考えられる。しかし設計者から見ると,MBOMと単位をそろえたEBOMを作ることは生産や調達のためであり,自分たちのためではない,と思ってしまいがちだという。

 しかし,EBOMは本来は設計者のもの。例えば設計者がコストを評価するとき,1カ所に必要な情報が集まっていることはあまりない。社内から断片的な情報を集めて,何とか評価を実施するが,その情報はその場限り。時間が少したてば,その情報はすぐ古いものとして使えなくなってしまう。EBOMが整備されていれば,IDをキーに生産技術部門や調達部門などから情報を集めることが,原理的には容易になる。

 そのような利点を享受する以前に,ただでさえ忙しい設計者がEBOM修正作業で時間を取られてしまう,という現実は存在する。しかし少なくとも,手間の問題はツールやシステム,特にCADの改良で解決できる可能性は存在する。例えば,外部から読み込んだ製品構成情報でCAD内部のデータを組み替える,という機能の追加が考えられる。