前回は、IT製品(ソフトウエアパッケージ、ハードウエア、クラウドサービスなど。以後、「製品」と略す)およびベンダー(ITベンダー、SIベンダーなど)を正しく選定するためには、RFI/RFPをうまく活用するべきと述べた。

 これまで5回に渡って製品/ベンダー選定のための重要なポイントについて述べてきたが、最終回となる第6回では、これまであまり語られていない正しい製品/ベンダー選定のためのTipsを紹介したい。

スモールスタートがシステムサイロ化の引き金をひく

「お客様、スモールスタートで始めてみましょう」

 これは、ベンダーの営業担当者から良く聞く言葉である。そして、この言葉に呼応して、とりあえず小規模に製品を導入してみる企業も少なくない。しかし、スモールスタートで導入したシステムが、ビジネスやユーザー全体の要求を考慮していなかったり、事前調査が十分でなかったりするケースは枚挙にいとまがない。スモールスタートがシステムサイロ化の引き金を引いている、と言っても過言ではないのだ(システムサイロ化については本連載の第1回を参照)。

 誤解してほしくないが、筆者はスモールスタートが悪いと言っているわけではない。基本的には、スモールスタートはシステム導入リスクを低減するための有効な手段のひとつである。

 しかし、事前検討が不十分にもかかわらず、スケジュール逼迫(ひっぱく)などを理由に「とりあえずスモールスタート」という選択を行う企業が多いのが実情なのである。スモールスタートで新システムを導入したが、対象となる組織や業務を拡大した途端、まったく使えないシステムであることが判明し、スモールスタート状態のまま利用し続けている企業は少なくない。

 図1にスモールスタートが陥りやすいパターンを示す。

図1●スモールスタートの理想形とよくある現実
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 本来のスモールスタート・アプローチは、一部の組織を対象に限られた業務範囲でシステムを利用し、そこで得られた知見を基にシステムの有効性を検証。その上で、改善すべき点を見い出した場合はそれらを改善し、より広い組織や業務領域への展開を行う(図1左)。

 しかし、スモールスタートからシステムを全社規模に拡大するのは容易ではない。その理由は前述(「ビジネスやユーザー全体の要求を考慮していない」「事前調査の不足」)の通りだが、他の理由もある。先行利用した組織と他の組織との差はいくらでも挙げることができるため、全社拡大が困難だという理由付けが容易なのである。

 この結果、図1右に示したように、最終的には企業内にスモールスタート・システムが多数存在し、システムサイロ化につながってしまう。

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