CAEで広く用いられる有限要素法や有限体積法で構造解析や流体解析を行うには,何らかの方法で解析対象をメッシュ分割しなくてはならない。解析対象の形状を,コンピュータで計算できるように形状が単純で小さな要素の集合として表すのである(図1)。このメッシュ生成が初心者にとって最初で最大の難関といってよい。昨今は自動生成(オートメッシュ)機能が進化し,ツール任せにできる場合も増えたが,メッシュの良否が計算結果を左右するので,その基本と勘どころをぜひ押さえておきたい。

図1●解析に必要なメッシュ
図1●解析に必要なメッシュ
4面体要素でメッシュ分割したフック形状の3次元モデル。平均的な要素の長さを6mmに設定してメッシュ分割した。要素数は約2万6700。

 そもそも,メッシュと一口にいっても,さまざまな種類がある。2次元のシェルメッシュ,3次元のソリッドメッシュのほか,1次元のビーム要素や剛体バー要素もある。さらに,シェルやソリッドの中にも,異なるさまざまな種類のものがある。ここでは,設計者が一般的に使うCAEツールで生成できるメッシュに限って議論を進めることにする。

メッシュの粗さはどう決める?

 まず,メッシュを生成する前に考えてほしいのは,自分が何を計算したいかという点だ。応力を計算したいのか,剛性(たわみ)を計算したいのか,それとも固有値を計算したいのか。それによってメッシュ生成にかける手間が違ってくる。剛性や固有値は,メッシュ数やメッシュ形状にさほど敏感ではないので,極端に言えば多少ルーズに考えても差し支えない。

 逆に,応力値を求めたいなら,後述するようにメッシュの問題には徹底的にこだわった方がよい。メッシュによって答えが1/2になったり倍になったりするからだ。では,メッシュ生成に当たって具体的に何に気を付けたらよいのだろうか。

 メッシュ生成のポイントとなるのは大まかに言うと(1)メッシュ数(2)メッシュの粗密分布(3)メッシュ形状(品質)(4)メッシュの次数(5)メッシュ生成計算での失敗の危険性――の五つ。まず(1)と(2)について考えてみよう。通常,目的とする形状を作成した後,CADソフトのメッシュ生成機能を呼び出したり,メッシュ生成用の他のツールを使ったりしてメッシュを自動生成することになる。このとき多くの設計者は,自動生成に向いた「フリーメッシュ」を使うことになる。

 一般にフリーメッシュでは,解析対象全体にわたって平均的な要素長を設定できるようになっている。この値の設定の仕方によって,どの程度細かく分割するかが決まる。ソリッドの場合,対象物を肉厚方向と長手方向に分けて考えるなら,要素長を肉厚方向の1/2~1/3の長さに設定するのが望ましい。しかし,長手方向と肉厚方向の比が1から離れれば離れるほど,つまり薄くて長い形状ほどその条件で設定するのは難しくなる。メッシュ数が増えて天文学的な数字になってしまうからだ。メッシュが増えるとそれだけ計算時間も増えるので,現実的な要素長を探らなくてはならない。では,どのような大きさでメッシュを切ればいいのか――。

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