前回まで説明してきたように、部品メーカーで設計を3次元化する上では、セットメーカーでの問題を増幅したような独特の困難さにしばしば直面する。その1つが、部品メーカーでの図面の扱いである。
3次元CAD/CAM導入による図面レス化、あるいは図面省力化は、セットメーカーでさえいまだに円滑に進行していない企業が多い。部品メーカーでの図面の扱いには、実はセットメーカーにも輪を掛けて困難な問題が存在しており、3次元化を阻害していた重要な要因であることにほぼ間違いはない。
絡み合う多面的な図面管理
以下の図は、筆者が所属したある部品メーカーの図面体系を示したものだ(図の左の列)。非常に図面の種類が多い。セットメーカーであれば、図面体系は部品図と、部品を組んだアセンブリ図、というようにシンプルである。シンプルであればそれだけ、3次元化を推進していくときにも体系的、かつ円滑な推進が可能になる。ところがこの部品メーカーでは、例えば同じアセンブリを表現するのに、6種類もの図面があったのである。具体的には「製品図」「英文製品図」「機構図」「英文機構図」「製品別部品表」「分析図」の6つだった。
そんなに多数の区別がなぜ必要なのだろうか。この理由は、まさに部品メーカーがサプライヤーであることにつきる。ちょうど金型メーカーで、1つの製品に対して複数種類の型図などが存在するのと類似の現象といえるだろう。
まず第一に、前回も触れたように部品メーカーはセットメーカーには製品を部品として納めながらも、その部品の部品を作るメーカーからは部品を納めてもらうわけだ。つまり「部品を納める」「部品を納めてもらう」という、両方の立場がある。このことから図面にも二面性が出てくる、というのがセットメーカと異なる点だ。