型締め力をどう設定するかも金型設計の重要な検討要素となる。樹脂流動解析ツールは,型締め力を評価する機能を搭載しているが,その評価値を無条件に信用するのはやや危険である。

過大な型締め力

 型締め力は,製品形状をパーティング面に投影して描かれる面にかかる圧力の総和として求められる。計算上は,キャビティを小さなセグメントに分割し,各セグメントの平均圧力を計算した上で,各セグメントをパーティング面に投影したときの面積と圧力の積の総和を計算する(図1)。

図1●圧力分布の解析例
図1●圧力分布の解析例
型締め力は,微小領域(セグメント)に分割したキャビティの圧力分布を利用して,それらのセグメントをパーティング面に投影したときの面積と圧力の積の総和として算出する。この例では,各セグメントの面積がそのままパーティング面に投影されたときの面積となる。

 図1のような形状では妥当な計算結果が得られるため,設計上の参考となるだろう。問題となるのは,パーティング面に投影される面が重なる場合である(図2)。重なった面の圧力は型締め力を計算する上では必要ないのだが,解析ツールでは通常そこまでは考慮しない。

図2●過大に算出される型締め力
図2●過大に算出される型締め力
投影面積にはパーティング平面に垂直投影されるすべての面積が考慮される。従って(a)と(b)のように形状的にはわずかな違いしかなくても,(b)では重なった部分の面積も考慮されるため型締め力の予想値が大きく算出される。

 従って,ツールで算出される予想型締め力は,実際に必要な型締め力よりも大きな値となる。大きな型締め力が必要となると,それだけ大型の射出成形機が必要となりランニングコストがかさむ。型締め力を過大評価すると無駄なコストが発生してしまうのだ。

 算出された予想型締め力の数字はうのみにせず,製品形状をよく見て過大に算出されていないかどうかに注意を払おう。過大だと思われる場合は,圧力分布結果などを参照して,予想値から間引くといった工夫が求められる。