私物端末と個人向けクラウドを組み合わせて使う新しいBYOD。これを会社が受け入れる方策の一つが、私物端末に加え個人向けクラウドを、会社や部門の公認ツールとして利用することだ。

 例えば、オンラインストレージを部門のファイルサーバーとして、チャットサービスやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をグループウエアとして使えるようにする。個人向けクラウドには、ユーザー管理やアクセス制御といった管理機能は備わっていない。だが、クラウドで管理するデータや業務での用途を限定したり、ユーザーを教育したりすることで、システム部門のコントロールが効く状態になる。

 数百人規模の中堅企業や大企業での部署単位での利用であれば、検討する価値は十分にある。実際に、個人向けクラウドを会社公認ツールとして活用している3社を紹介しよう。

情報系システムは不要

 「ファイル管理やメールなどの情報系システムは、個人向けクラウドで十分。私物のタブレット端末があれば、いつでもどこでも仕事ができる」。こう断言するのは、愛知県一宮市に本社を置き、横断幕など印刷物の企画・製造を手掛ける堀江織物の堀江賢司氏だ。

 全社のシステム担当と関東地区の営業担当を兼務している堀江氏が、会社公認ツールとして採用したのが、オンラインストレージの「Dropbox」と「SugarSync」、コンテンツ管理の「Evernote」、プレゼンテーション資料を共有する「SlideShare」などだ(図1)。

図1●堀江織物は全社システムとして個人向けクラウドを活用
営業担当者の生産性を高めるために、DropboxやEvernoteなどでカタログや発注書、打ち合わせ資料などを管理している。写真右はシステム担当兼営業担当の堀江賢司氏
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 例えば、社外のデザイナーなどと図面などを受け渡しする際は、オンラインストレージを活用する。複数メンバーでデータを共有するファイルサーバーとしても使う。受注書や商談情報などは、Evernoteで管理。会社に届いたFAXは、PDFに自動変換してEvernoteに転送する。

 堀江織物が私物の端末と個人向けクラウドの業務利用を認めるきっかけは、同社の事業改革だった。以前は大手広告代理店などからの受注業務が中心だったが、2010年に東京オフィスを新設し、印刷技術を生かした新規事業の開拓を手掛け始めた。営業スタイルも大きく変わった。事務所で電話やFAXを受けるのではなく、「1日のほとんどは、社外で打ち合わせするようになった」(堀江氏)。

 とはいえ、IT予算は限られており、営業担当者が社外から利用するシステムはなかった。「使えるものをとことん使おうと、私物のスマホやタブレット端末から個人向けクラウドを使っているうちに、実はこれが最適なシステムではないかと感じるようになった」と、堀江氏は語る。

 基幹系システムで管理している顧客情報や会計情報といった機密性の高いデータは、そもそも外出先からは利用しない。「それ以外の情報は、パスワードなどで保護された個人向けクラウドでデータを管理した方が、重要情報を印刷した紙を持ち歩くよりも安全だ」と、堀江氏は説明する。

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