3次元時代のDR
不具合の未然防止を実現するのに最も重要なのは、過去に発生した問題を再発させないことに加え、新たに発生し得る問題を予見することである。このため、多くの企業では設計の初期段階から、ベテラン設計者や有識者の知見に基づいたチェックを徹底している。これを実際に開発プロセスに組み込んだのがデザインレビュー(DR)である。筆者らも、不具合の未然防止を実現する際に、まずは3次元モデルを活用したDR主導型設計を定着させることを重要視している*。
* 3D-DPRMにおけるグループGの取り組みとしては「DR主導型設計の推進」があるが、第31~36回の内容はこの取り組みを含むものとなる。
DRでは、設計書や仕様書、プログラムなど各設計フェーズにおける成果物を営業/購買/製造といったさまざまな担当者の視点からレビューする。これによって、設計者の視点だけでは漏れてしまう内容を精査し、品質を確保する。一般には製品企画や構想設計、詳細設計などが終了した節目に会議形式で行われ、指摘されたことに対策を施して、次の段階に進む(図1)。

図1●DRの開催タイミング例
設計プロセスにおける各フェーズの境目で実施されることが多い。
従来の2次元設計プロセスにおけるDRの最大の課題は、部品の形状や部品間の位置関係など、製品全体の正確なイメージをつかみにくいことだった。2次元図面だけでの検証には限界があるので、試作への依存度が高くなる。設計品質が作り込まれるのは試作後になることが多くなり、設計変更と試作を繰り返したり、大きな手戻り(根本的な設計の見直し)が生じたりする。