ここからはクラウドサービスを提供するためのデータセンター向けSDNではなく、企業ネットワーク分野のSDNの適用例について見ていこう。

年間1000万円の削減効果
課題はサーバーとネットワークの統合管理

 まずは日本通運の事例だ。同社は2011年7月、自社のプライベートクラウド内にSDNの仕組みを本格導入した。具体的にはNECのOpenFlowコントローラーとOpenFlowスイッチを導入し、ホップ・バイ・ホップ型の実装形態を採用した。

 日本通運のケースは、企業ネットワークへの導入例ではあるが、同社のSDNの導入目的は、データセンター向けSDNの要件にも近い。「SDNの導入前は、新しいシステムを作りたいという要件が社内から来るたびに、L2スイッチの増設に30万円、ネットワークのコンフィグを頼むたびに100万~200万円のコストがかかっていた」(日通情報システム インフラサービス部の山口健治課長)。さらに「仮想サーバー単体では10営業日ほどで用意できるが、ネットワークがボトルネックとなり、実際は提供するまで約2カ月もの時間がかかっていた」(山口課長)という。このような課題を解消するために、自社プライベートクラウド化の棚卸しのタイミングでSDNを導入した。最初期のSDNの導入事例といってよいだろう(図7)。

図7●日本通運が導入したSDNのメリットと課題
OpenFlowを使った最初期の事例として知られる日本通運のプライベートクラウドにおけるSDNの構築である。導入後、2年以上が経過しているが、トラブルは3回程度で収まっており、安定した運用ができているという。仮想サーバーのリソースを使った新システムを、これまでは2カ月ほどかけて構築していたが、ネットワークのボトルネックが解消されたため、10営業日程度で提供できるようになった。運用コストも年間で1000万円ほどの削減効果があったという。
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「トータルでは安定している」と評価

 導入から2年以上が経過し、メリットや課題も明確になってきている。まずは投資対効果の面だ。「運用コストは、ベンダーへの設定費用が低減されたことなどから、年間で1000万円程度の削減効果が出ている」(山口課長)と評価する。

 続いてシステムの安定性だ。導入から2年間でトラブルは3回あったという。スイッチのメンテナンスやハードウエアのバックアップのタイミングでバグが表面化することがあったが、「通常運用では動作しなくなるケースはなく、トータルでは安定していると評価している」(山口課長)という。

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