「ソフトウエア・デファインド」を掲げるベンダー間の競争が激しくなってきた。ハードウエアの機能をソフトウエアで代替したり、ソフトウエアによりインフラを集中制御したりする。中でも、「データセンター運用の自動化」に目標を定め、ソフトウエア・デファインドを推進するベンダーが増えている。次代のコンピューティングの姿を見よう。

 「ソフトウエア・デファインド(Software Defined)」を打ち出すベンダー戦略が熱を帯びてきた。

 日本IBMは2013年6月、新たなコンピューティング・モデルとして「ソフトウエア・デファインド・エンバイロメント(SDE)」を発表。米ヴイエムウェアと米ヒューレット・パッカード(HP)は、共に「ソフトウエア・デファインド・データセンター(SDDC)」を掲げている。

 これらに共通する目的は、ソフトウエア制御により、データセンターの運用を自動化することにある。「サーバーやネットワーク、ストレージといったインフラの変更を容易にし、アプリケーション開発のスピードアップを図りたい」というニーズが、ソフトウエア・デファインドを後押ししている。

 データセンター運用の自動化は様々な技術の組み合わせによって実現する。例えば、ベンダーが製品開発を競っている「ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング(SDN)」は、ネットワークを仮想化することで、運用自動化を下支えする。

 ソフトウエア・デファインドの進展により、従来のコンピューティングはどう変わるのか。各ベンダーの戦略を読み解き、そのメリットを探っていこう。

ゴールはインフラの自動制御

 まずIBMのSDEを例に取り、ソフトウエア・デファインドの仕組みを明らかにする。米IBM ソフトウエア・デファインド・システムズ ジェネラル・マネージャのジェイミー・トーマス氏は、「SDEは、アプリケーションに対してインフラの俊敏性を高めることが目的。そのために、ワークロードの変化をインフラが自動認識できるような機能を提供する」と説明する(図1)。

図1●IBM「ソフトウエア・デファインド・エンバイロメント(SDE)」の概要
インフラリソースを仮想化しておき、利用者やアプリケーションに対して迅速に割り当てる仕組みを備える。ワークロードの変化に応じて、自律的にリソース量を調整する機能の開発に力を入れる
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 SDEは大きく三つの機能で構成する。まず、(1)サーバーやネットワーク、ストレージといったインフラを仮想化し、リソースプールとして管理する機能。次に、(2)リソースプールから仮想リソースを引き当てるための「コントローラー」(最近では、「クラウドOS」とも呼ばれる)。最後が、(3)インフラのパターンやワークロードの変化に基づき、コントローラーにリソースを要求する「オーケストレーター」だ。

 これら三つの機能をAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)で連携し、アプリケーションの負荷に応じてインフラを自動制御することがSDEのゴールである。

 SDEの特徴の一つは、オープンソースソフトウエア(OSS)を活用することだ。ネットワークを仮想化する「SDNコントローラー」は米Linuxファウンデーションの「OpenDaylightプロジェクト」規格がベース、コントローラーにはOpenStackを用いる。OSSを多用する背景には、「クラウドを構築する技術ではなく、アプリケーションをいかにデプロイ(配備)するのかという“クラウドを使う技術”が今後の主戦場になる」(日本IBM グローバル・テクノロジー・サービス事業の山下克司 技術理事)との読みがある。

 つまり同社は、インフラを構築する製品・技術よりむしろ、その自動制御に力点を置く。実現の鍵を握るのが「IBM SmarterCloud Orchestrator(SCO)」だ。SCOはワークロードの変化に応じ、コントローラーのOpenStackに対してリソースの増減を要求する機能を担う。

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