雑誌『日経NETWORK』では例年、企業ネットワークの実態調査を実施している。今年の調査で注目したのは、個人所有の端末を勤務先の業務で使う「BYOD」や、個人向けWebサービスの業務利用。調査の結果、ネットワークの規模などによって運用方針に違いがあるなど、様々な実態が浮かび上がってきた。

Part1 分析編
「とりあえず禁止」が多数派
小企業はルール不在も目立つ

 「2割以上の企業でなし崩し的に利用が始まっており、実態が分からない」──雑誌『日経NETWORK』の調査から、企業におけるBYOD(個人所有端末の業務利用)や個人向けWebサービスの業務利用について、悩ましい実態が見えてきた。

 BYODは「Bring Your Own Device(ブリング ユア オウン デバイス)」の略で、スマートフォンやタブレット端末といった、従業員の個人所有の携帯端末を業務で利用することを指す。個人所有端末の利用により、「従業員が使い慣れた自分の端末で業務をこなせる」「在宅時、出張時などオフィス外での業務効率が良くなる」「従業員に端末を支給せずに済むため、コスト削減につながる」──などの利点があるとされる。

 だが、システムやネットワークの管理者から見ると、BYODの導入には情報流出などにつながるリスクがある。安全性を保ちながら導入するための費用や手間が、十分にかけられないといった悩みがあるようだ。

端末の機能向上とクラウドの発展が背景に

 BYODが注目されている背景には、従来のパソコンに近い機能を備えるスマートフォンやタブレット端末が一般化してきたことがある。また、こうした端末を使ってオフィスの自席以外の場所でも、同じように仕事ができる環境が整ってきた。

 例えば米グーグルの「Gmail(ジーメール)」のようなWebメールや、米ドロップボックスの「Dropbox(ドロップボックス)」のようなオンラインストレージ、様々なSNSなどの個人向けWebサービス(クラウドサービス)は、インターネットにつながりさえすればどこでも利用できる。

 ただし個人向けWebサービスを業務で利用すると、業務で扱う情報が、管理者が掌握できるシステムの範囲外に置かれることになる。これは管理者にとっては頭の痛い問題だ。そこでこの特集では調査を基に、携帯端末や個人向けWebサービスなどの“私物”利用との現実的なつきあい方を探っていく。

 では、調査結果をもう少し詳しく見ていくことにしよう。

約20%の企業が何らかの“私物”利用を許可

 BYODや個人向けWebサービスの業務利用を認める企業や組織は、全体的に見ると実はまだ少数派だ。

 BYODと個人向けWebサービスの業務利用について尋ねた結果では、「どちらも既に公式に認められて利用を推進している」という回答はわずか7.2%、「BYODは公式に認めているが、個人向けWebサービスの利用はこれから、または禁止」が6.9%だった。「個人向けWebサービスの利用は公式に認めているが、BYODはこれから、または禁止」は6.7%である(図1-1

図1-1●BYODや個人向けWebサービスの利用を推進する企業はどのくらい?
どちらも明確に禁止し、今後も利用する予定はない企業が4割以上という結果になった。
[画像のクリックで拡大表示]

 3つを合計すると、何らかの形で端末や個人向けWebサービスの“私物”利用を認めている企業や組織は、全体の20.8%、つまり約5分の1になる。現実には、「どちらも禁止されており、利用を始める予定もない」(41.9%)という、“私物”を許可しない企業の方が圧倒的に多数派なのだ。

 さらに調査結果をよく見ると、もう一つの現状が浮かび上がってくる。「なし崩し的に利用が始まっており、実態が分からない」という企業が21.6%もあるのだ。これは管理部門が“私物”の携帯端末や個人向けWebサービスの利用をどう扱うか判断を保留しているうちに、現場での活用が進んでしまい、実態が分からなくなっている状況が少なくないことを表している。

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