前回は、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を活用してスモールスタートで取り組めるマーケティング・オートメーションの施策を考察してみた。今回は、実際オートメーションを可能にするCMS製品にはどのようなものがあるのかを紹介する。1本導入すれば、様々な顧客にうってつけの情報を提供してくれる、“おもてなし上手”のCMSだ。

“動的”表示、海外製品が先行

 CMSには「動的」と「静的」と呼ばれる、2通りのコンテンツ表示方法がある。動的なCMSではユーザーがサイトにアクセスする度にコンテンツを毎回生成し、Webサーバー経由でコンテンツを表示する。一方静的なCMSではコンテンツの作成・更新時にHTMLを生成し、予めウェブサーバー上にアップしておく。

 国内においては、以前より「静的」なCMSを選択する企業が多かった。これは日本企業のコンテンツの承認プロセスが複雑で、承認フローや配信機能の柔軟性に重きを置いてきたからだろう。ウェブサーバーはもちろん、CMSも一瞬たりともダウンさせてはならないという運用管理方針を掲げる企業が多いことも影響しているのかもしれない。現状では、国産の大規模サイト向け商用CMSは静的なものが大勢を占める。

 CMSでオートメーションを実現するためには、動的なCMSであることが前提となる。ユーザーの閲覧履歴やIPアドレス、検索キーワードなどによって、毎回異なるページを表示する必要があるからだ。

 そのため、基本的には海外製のCMSパッケージが選択肢となる。その中でも、現時点においてマーケティング・オートメーション機能の充実度と日本での実績において最も有力な選択肢として、デンマークに本社を置くサイトコアを挙げたい。

柔軟な顧客対応をCMSだけで実現

 米サイトコアの「Sitecore Customer Engagement Platform」は、予め設定したペルソナに応じたコンテンツの表示を自動化する。外部システムと連携せずにCMSだけでの運用が可能だ。

 サイト来訪者のIPアドレスや検索キーワード、閲覧ページ履歴などの情報をCMS自体が保有しており、顧客ごとに異なるページ生成を行う。ユーザーのIPアドレスを判別し、地域によって異なる売れ筋商品を出し分けたり、流入時のキーワードに応じて表示するコンテンツを変えたりすることが可能になる。

 また、CMSが保有するページ閲覧履歴を活用し、予め設定したペルソナ条件に当てはまるユーザーに対して最適なコンテンツをリアルタイムに生成する機能やEメール配信の仕組みも網羅しており、デジタルチャネルでの顧客対応の自動化を幅広く可能にしている。

 その具体例として、ヨーロッパの大手LCC(格安航空会社)のeasyJetの活用法を見てみよう。ヨーロッパの多くの都市を結ぶ路線を運行しているeasyJetでは、サイトに来訪するユーザーの居住地域も関心のある渡航先も様々だ。easyJetのサイトでは、ログインせずに利用しても各ユーザーの過去のページ閲覧履歴を解析し、関心が高いと想定できる路線と価格情報をトップページで大きく表示する。その結果、コンバージョンの向上に大きく貢献したという。

 こういった施策を行う場合には通常、CMSとは別に、レコメンデーションやEメール、アクセスログツールを組み合わせる必要があるのだが、サイトコアであればCMSだけで実現が可能だ。

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