明治通りと表参道が交差する神宮前交差点の角地に、様々な角度で光を反射するガラスファサードと屋上緑化が特徴的な商業施設が、2022年度に竣工する予定だ。外装デザインを手掛けるのは建築家の平田晃久氏。東急不動産と東京メトロが共同出資した神六再開発(東京都渋谷区)は、権利者で特定事業参加者である東急不動産と共に20年9月7日、「神宮前六丁目地区第一種市街地開発事業」の外観イメージを公表した。

東急不動産などが進めている「神宮前六丁目地区第一種市街地開発事業」の完成イメージ。屋上緑化を施す予定だ(資料:神六再開発)
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 計画地は、神宮前交差点の南西角地にある。東側向かいには、「東急プラザ 表参道原宿」(12年完成)が立つ。神六再開発は、新たに建設する商業施設を原宿・表参道エリアの新たなランドマークにしたい考えだ。

神宮前六丁目地区第一種市街地開発事業の外観イメージ。外装と屋上は建築家の平田晃久氏がデザインを手掛けた(資料:神六再開発)
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 16年3月、当時再開発を主導していた神宮前六丁目地区市街地再開発準備組合は、外装デザイナーを選ぶコンペを実施。平田晃久建築設計事務所(東京都港区)を選定した。現在開発を主導している神六再開発の担当者は、「平田氏の提案は、世界でも指折りの商業地である表参道の街並みやケヤキ、移り行く季節をも外装に映し出し、幅広い表現ができる外装・屋上デザインだと考えた」と説明する。

 平田晃久建築設計事務所の平田晃久主宰が打ち出した、外装と屋上のデザインコンセプトは「KNIT DESIGN(街を編む)」だ。表参道のケヤキ並木や明治神宮の緑、そして商業施設など、自然と人工物の多様な要素が共存する新しい都市を表現する。また、古いものと新しいものの融合、外と内の融合など、「融合」も1つのキーワードとした。

 ガラス張りの外装は2つに区分して設計する。1つが、ガラスは様々な角度で設置して凹凸にする部分を“umi(ウミ)”エリア。もう1つがガラスをフラットに設置する“shima(シマ)”エリアだ。

平田主宰がデザインした外装イメージの展開図(資料:神六再開発)
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 外から施設を見たときに、ウミエリアは街のにぎわいを反射して映し出し、シマエリアは建物内のにぎわいが表出するように2つの違いを出す。様々な要素が混ざり合い、原宿と表参道それぞれのエリアが持つ特性をニットの編み目のように絡め合わせ、共存させるイメージだ。

 計画地のある交差点は大通りと細い街路による5叉路で、歩行者と自動車が交錯していた。また、南東側は明治通り拡幅のため狭小な三角形の街区になっていた。再開発で街区を再編・統合し、細い街路を廃道にして5叉路を解消することで、安全な歩行者空間の確保を図る。

 再開発の計画地では現在、築50年超のオフィスビル「オリンピアアネックス」の解体工事が進む。新施設は20年11月に着工する予定だ。総事業費は約180億円を見込む。設計・監理は日建設計、施工は清水建設が担当する。

 17年末に閉館した渋谷区立神宮前隠田区民会館跡地を含む再開発なので、建物内には公共公益施設を設置する予定だ。この他、再開発地域内に立つ東京メトロの鉄道用変電所を残し、増築する。

 神六再開発は新型コロナウイルスがもたらした生活様式の変化も配慮し、竣工予定の22年度に求められる生活様式に合わせた取り組みについても検討していく考えだ。