家賃の上がった注目エリアには出店を足踏みせざるを得ない、個人店主のチャレンジの場をつくる──。小田急電鉄は、開発を推進中の「下北線路街」(東京・世田谷)の1エリアに、4月1日、全5棟・14店舗(1店舗未定)から成る商店街「BONUS TRACK」(ボーナストラック)を開業した。
下北線路街は、小田急小田原線の線路跡地に複数の商業施設の他、保育施設、宿泊施設、学生寮などを順次建設し、「シモキタらしい」街の創出を図る開発事業。下北沢駅を挟み、東北沢駅と世田谷代田駅の間の2区間、約1.7キロメートルのライン(線)状のエリアを対象とする。
BONUS TRACKはそのうち、下北沢駅周辺の繁華街からはいくらか離れた一画に位置する。駅最寄りでは10年間で家賃が3倍近くに高騰しチェーン店が目立つ街になったなかで、改めて同エリアならではの個性的なテナントを集める試みとなる。また、一方で駅から離れた場所では空き家の増加や住民の高齢化が進む傾向があるため、沿線エリア再生の核施設の役割も持つ。
BONUS TRACK全体の運営は、同施設の開発を機に設立された散歩社が担う。同社がテナント誘致にも携わってきた。また、建築設計および一部店舗の内装設計をツバメアーキテクツ、施工を山菱工務店が手掛けている。ツバメアーキテクツによると、「テナントらしさが街に表れるよう、建築に関しては、使う側によって手を加えやすいディテールを旨としている」という。
全国的に新型コロナウイルス感染拡大の情勢にあるため、線路街に設けている広場空間では集客イベントは見合わせている。BONUS TRACKでも、物流の制約などから開店を遅らせている店舗がある。そうしたなか、BONUS TRACK自体は、地域再生など社会的な意義を持たせたまちづくりプロジェクトの側面があるため、近隣商圏のライフスタイル支援などを視野に入れて緩やかに始動した。
以下に、建物群と「シモキタらしさ」を担う店舗の一部を紹介する。
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