桐朋学園(東京都調布市)は2021年3月22日、「桐朋学園宗次ホール」(同)の竣工式と特別演奏会を開いた。音楽ホールのコンセプトは「木が織り成す音楽の場」。CLT(直交集成板)による折板(せつばん)構造を採用し、CLT構造材を現しとした世界初の音楽ホールだ。基本設計とデザイン監修を隈研吾建築都市設計事務所が手掛けた。

桐朋学園宗次ホールの外観。木製ルーバーは楽器の弦をイメージした(写真:日経アーキテクチュア)
桐朋学園宗次ホールの外観。木製ルーバーは楽器の弦をイメージした(写真:日経アーキテクチュア)
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 桐朋学園宗次ホールは、「桐朋学園音楽部門仙川新キャンパス計画」の第2期として整備された。第1期では木造4階建て校舎が17年5月に完成。設計は隈研吾建築都市設計事務所・前田建設工業共同企業体(JV)が担当した。都市部で2棟も非住宅の木造建築が並ぶ貴重な例といえる。

 21年3月19日に完成した桐朋学園宗次ホールの構造は木造、一部鉄筋コンクリート(RC)造。地下1階・地上3階建てで、延べ面積は約2400m2。音楽ホールと講義室、レッスン室で構成される。実施設計・監理と施工は前田建設工業・住友林業JVが担当した。

 四方の外壁のうち、道路に面する部分には木製ルーバーを設置。高さによって角度を変えながら取り付けた。隈研吾氏は「楽器の弦をイメージした」とコメントしている。

 CLTの折板構造で建てられた音楽ホールは、天井高さ約10m、スパン約17mを確保。客席数は最大234席とコンパクトだが、ステージは奥行き約10mでフルオーケストラが演奏できる広さとした。木に囲まれた空間では柔らかく音が響く。

桐朋学園宗次ホールのステージ。壁や天井の照明を取り付けたパネルは音響反射板で、その奥はCLTの現しとした。2階バルコニーの腰壁も音響反射板として機能する。満席時の残響時間は約1.7秒(写真:日経アーキテクチュア)
桐朋学園宗次ホールのステージ。壁や天井の照明を取り付けたパネルは音響反射板で、その奥はCLTの現しとした。2階バルコニーの腰壁も音響反射板として機能する。満席時の残響時間は約1.7秒(写真:日経アーキテクチュア)
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 ホールの天井は30mm厚のラミナを5層重ねたCLTで、内側にはスギとヒノキを使った。壁は4層のCLTで天井同様に内側にスギ、表面にヒノキを使用した。

 壁や天井の形状は折板構造によって決まった。音楽ホールに必要な音環境を確保するため、壁や天井に音響反射板を追加した他、2階バルコニーの腰壁も一部角度を付けて音響反射板として機能するようにした。

 エントランスホールでは入り口正面の壁面いっぱいにCLTの端材をランダムに配置。音楽ホールで使用しているヒノキとスギのCLTで、断面が見えるようにした。壁面に沿った階段もCLTの断面が見えるデザインだ。

桐朋学園宗次ホールのエントランスホール。壁面にはスギとヒノキを使ったハイブリッドCLTの端材をランダムに配置した(写真:日経アーキテクチュア)
桐朋学園宗次ホールのエントランスホール。壁面にはスギとヒノキを使ったハイブリッドCLTの端材をランダムに配置した(写真:日経アーキテクチュア)
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桐朋学園宗次ホールのエントランスホールにある階段。CLT表面のヒノキ材、内側のスギ材が積層して見える(写真:日経アーキテクチュア)
桐朋学園宗次ホールのエントランスホールにある階段。CLT表面のヒノキ材、内側のスギ材が積層して見える(写真:日経アーキテクチュア)
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