東京都は2020年7月17日、デジタル技術で東京のポテンシャルを引き出す「スマート東京(東京版 Society5.0)」の実現に向けた都市実装を推進するため、都内3つのプロジェクトを選定し、支援すると発表した。選ばれたのは、「大手町・丸の内・有楽町地区(大丸有地区)スマートシティプロジェクト」「Smart City Takeshiba(スマートシティ竹芝)」「豊洲スマートシティ」だ。
地域に密着したリアルタイムデータの収集・分析や、AI(人工知能)を活用したサービス展開をサポートし、東京のスマートシティー構想を加速させる。プロジェクトの実施にかかる費用を都が補助。20年度の補助上限額は4000万円、補助率は2分の1以内とし、最大3年の期間を予定している。
デロイト トーマツ コンサルティング(東京・千代田)が都からの受託事業として、「スマート東京(東京版 Society5.0)の実現に向けた先行実施エリアプロジェクト」に携わる。各プロジェクトに助言し、スマート東京の社会実装モデルの確立と都のスマートシティー構築をバックアップする。
今回選ばれた3つのプロジェクトを比較すると、共通する実装モデルが2つある。1つは「都市OS」、もう1つが「エリアDX(デジタルトランスフォーメーション)」だ。
都市OSとは一般に、リアルタイムのデータ流通プラットフォームを街に実装することを指す。このプラットフォームを、街を構成するインフラの1つに見立てた「基本ソフト(OS)」に位置付ける。
一方、エリアDXは、街のデジタルツイン(電子的な双子)上での各種シミュレーションを参考にしながら、都市デザインを再構築していくものだ。収集したリアルタイムデータをデジタルツインに適用し、交通や防災、商業(地域活性化)、エネルギー管理などをコンピューター上のモデルで検証する。その結果を現実の街に反映して、都市デザインを変えていく。まさに街のデジタル変革といえる。
それでは、選ばれた3つのプロジェクトを順に見ていこう。
大丸有地区スマートシティプロジェクトは、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会、大丸有エリアマネジメント協会、大丸有環境共生型まちづくり推進協会が、開発を推進している。3団体は、20年3月に「大手町・丸の内・有楽町地区スマートシティビジョン」を公表。それをベースにプロジェクトを発展させる。
大丸有地区は、東京駅と皇居の間に位置する。プロジェクトを実施するエリアの広さは約120ヘクタールに及ぶ。約28万人の就業人口と約4300社の企業が集積する、日本を代表するビジネス街だ。開発を進める3団体は、この場所でいち早くスマートシティーを推進し、日本経済の国際競争力を高めたい考えだ。
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