日本財団は、誰でも快適に利用できる公共トイレを設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET(ザ トウキョウ トイレット)」を2020年夏から展開している。東京都渋谷区に合計17カ所の新しい公共トイレを設置する。このプロジェクトには、安藤忠雄氏や伊東豊雄氏、隈研吾氏、坂茂氏、槇文彦氏ら、16人の著名な建築家やデザイナーなどが参画して話題になっている。

 20年に完成した坂茂氏や安藤忠雄氏らによる7カ所の公共トイレに続き、21年夏には伊東豊雄氏や隈研吾氏、クリエーティブディレクターの佐藤可士和氏らがデザインした合計6カ所のトイレが供用を開始する予定だ。22年3月までには、17カ所全てが完成する計画になっている。

 先陣を切って、21年5月31日にはデザイナーのNIGO氏による公共トイレがお披露目となり、同日午後から利用できるようになった。NIGO氏がデザインした「神宮前公衆トイレ」(住所は神宮前1-3-14)は、東京・原宿の明治通り沿いに立つ。若者でにぎわう竹下通りの北側、警視庁原宿警察署のすぐそばに位置する。

NIGO氏がデザインした「神宮前公衆トイレ」(写真:日経クロステック)
NIGO氏がデザインした「神宮前公衆トイレ」(写真:日経クロステック)
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 NIGO氏の建物名は「THE HOUSE」。名前の通り、家のようなたたずまいをしている。高いビルが立ち並ぶ東京で、原宿の片隅にひっそりと立つ古き良き一軒家をイメージしたという。白い壁にミントグリーンのドアや窓枠という、一見するとトイレとは思えないかわいらしい施設だ。

建物の名称は「THE HOUSE」。白い壁に茶色の屋根を架けた、一軒家のようなトイレだ。ミントグリーンに染めた出入り口の扉や窓枠がアクセントになっている(写真:日経クロステック)
建物の名称は「THE HOUSE」。白い壁に茶色の屋根を架けた、一軒家のようなトイレだ。ミントグリーンに染めた出入り口の扉や窓枠がアクセントになっている(写真:日経クロステック)
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 「裏原宿」と呼ばれるエリアでストリートファッション文化をけん引してきた1人であるNIGO氏が、本拠地ともいえる原宿で公共トイレをデザインしたことになる。しかし、奇をてらったデザインではなく、トイレとしての入りやすさを最優先したという。

屋根に降った雨は軒といに集まり、レインチェーンを伝って地面に流れ落ちる。邸宅のようなトイレが立つ細長い敷地には囲いもある(写真:日経クロステック)
屋根に降った雨は軒といに集まり、レインチェーンを伝って地面に流れ落ちる。邸宅のようなトイレが立つ細長い敷地には囲いもある(写真:日経クロステック)
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トイレ内部は天井が高く、ファンが回る。ミントグリーンの扉は閉まらない(写真:日経クロステック)
トイレ内部は天井が高く、ファンが回る。ミントグリーンの扉は閉まらない(写真:日経クロステック)
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トイレは明治通り沿いに立つ。周囲には高いビルが立ち並ぶ(写真:日経クロステック)
トイレは明治通り沿いに立つ。周囲には高いビルが立ち並ぶ(写真:日経クロステック)
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 21年6~8月にかけて、隈研吾氏(6月24日)や佐藤可士和氏(7月15日)、伊東豊雄氏(7月16日)、佐藤カズー氏(7月21日)、小林純子氏(8月から9月初旬の予定)がデザインした公共トイレも登場。立て続けに竣工していくスケジュールになっている。建築家らがデザインしたユニークなトイレを巡れるようになる。場所は下の地図を参照してほしい。なお、供用開始は、各日付の午後からとなる。

渋谷区に建設される17カ所の公共トイレのマップ(資料:日本財団)
渋谷区に建設される17カ所の公共トイレのマップ(資料:日本財団)
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 なお、20年に竣工済みの公共トイレは「恵比寿公園トイレ」(片山正通氏)、「代々木深町小公園トイレ」「はるのおがわコミュニティパークトイレ」(共に坂茂氏)、「恵比寿東公園トイレ」(槇文彦氏)、「東三丁目公衆トイレ」(田村奈穂氏)、「西原一丁目公園トイレ」(坂倉竹之助氏)、「神宮通公園トイレ」(安藤忠雄氏)である。

 事業主は日本財団で、完成した公共トイレは渋谷区に譲渡する。建物の設計・施工は大和ハウス工業、トイレの現状調査と設置機器の提案はTOTOがそれぞれ担当。供用開始後の維持管理は、日本財団と渋谷区、渋谷区観光協会が三者協定を結んで実施する。

 三者は3年間かけて、公共トイレの維持管理方法を確立。そのうえで、渋谷区に維持管理の責任を移管する。毎日の清掃回数を増やし、日次・月次の報告を実施。第三者によるトイレ診断まで採用して、清潔で安全なトイレを維持していく。落書きなどが見つかれば、すぐに清掃員から連絡が飛び、三者で共有。素早く対策を打つ。NIGO氏のトイレのように白い壁は落書きされると目立つので、維持管理は手を抜けない。清掃員が20年から着ている新しいユニフォームのデザインを監修したのもNIGO氏である。

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