東京臨海副都心の整備に関しては、1995年に世界都市博の中止を決定した後、様々な巻き返し策が図られてきた。近年目立つのは、都心との結節点である豊洲や、東京五輪の招致を機に会場施設が立ち並んだ有明北地区の動きだ。核となる巨大複合開発「豊洲ベイサイドクロス」「有明ガーデン」などを2020年7月時点の写真でリポートする。
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東京湾岸のうち東京都が特に目を向けてきたのが、都心と臨海副都心を結ぶ軸線上にある晴海、豊洲、有明といったエリアだ。2018年に「東京ベイエリアビジョン」の策定に着手した際には、市場跡地のある陸側の築地、海側の台場や青海と合わせ、エリアの特性に従った成長モデルを描き出そうと試みている。
海側から望むと、やはり存在感を放つのは5632戸の分譲・賃貸集合住宅と商業施設、計24棟を建設する中央区晴海の「HARUIMI FLAG」(晴海フラッグ)だ。東京五輪延期に伴い、竣工前に大会選手村として使う計画に影響が生じた。20年6月には、契約者の入居開始が当初予定の23年3月から延期されることが明らかになった。
同様に影響を受けざるを得なかったのが、海から首都にアプローチする際の新たな顔として都が江東区青海の沖合に建設した「東京国際クルーズターミナル」だ。6月12日には、開業期日を当初予定の7月14日から延期すると発表。「9月を目途とし、新型コロナウイルスの収束状況を見て判断」としている。
以下に、規模の巨大さもあって開発時から注目されていた「豊洲ベイサイドクロス」および接続する「ららぽーと豊洲」(リニューアル)、「有明ガーデン」などの現在の様子を報告する。
豊洲ベイサイドクロス
海辺の公園や大規模商業施設と連結、ホテル開業も8月に決定臨海副都心の玄関口に当たる豊洲駅前の街区に、三井不動産が、オフィス、36店舗の商業施設、225室のホテル、エネルギーセンターなどから成る大規模複合施設を整備。地上36階のタワーの低層部は豊洲駅に直結し、さらに豊洲公園、隣接する「ららぽーと豊洲」との間にブリッジを架けて歩行者動線の回遊性を高めている。
以下、(1)は所在地、(2)は事業主体、(3)は設計者、(4)は施工者、(5)は構造/階数、(6)は延べ面積。一部数字は、当初発表時のものを含む
施設概要 (1)東京都江東区豊洲2-2-1 (2)三井不動産 (3)大成建設、デザイン監修:光井純アンドアソシエーツ建築設計 (4)大成建設 (5)鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造(免震構造)/豊洲ベイサイドクロスタワー:地下2階・地上36階、B棟:地下1階・地上24階 (6)豊洲ベイサイドクロスタワー:約18万4800m2、B棟:約7万2500m2
開発・開業経緯 12年8月豊洲2丁目駅前地区再開発事業施行認可(東京都)、16年12月同2-1街区タワー着工(~20年3月竣工)、18年1月同2-1街区B棟着工(~20年10月竣工予定)、19年11月街区名称発表、開業時期発表(20年4月24日、ホテル6月25日)、20年4月7日開業延期発表、同6月1日商業施設開業、同8月3日ホテル開業時期再発表、同8月10日ホテル開業(予定)
ららぽーと豊洲(リニューアル)
外観デザイン含め大規模刷新、東京湾岸エリア最大級の商業施設に三井不動産は、豊洲ベイサイドクロスの街開きに合わせ、隣接する商業施設「三井ショッピングパーク アーバンドック ららぽーと豊洲1・2」のリニューアルを実施。2006年の開業以来、最大規模の刷新となる。新規62店舗、改装40店舗に、豊洲ベイサイドクロスタワー内の36店舗、既存店を合わせると全214店舗に達する。
20年1月に開業期日を3月18日と発表したが、延期を決定した後、ららぽーと豊洲1・2は5月29日より、豊洲ベイサイドクロスタワー内のららぽーと豊洲3は6月1日より順次開業している。
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