「東京港にできた海の森大橋へ向かってほしい」。こう頼まれて迷わず到着できる人はほとんどいないはずだ。カーナビの地図にもまだ登録されていない地点かもしれない。

 海の森大橋は、東京・お台場の先、中央防波堤内側埋立地(江東区海の森)と外側埋立地の間に架かる橋長249.5mのアーチ橋だ。2020年6月20日に開通した。工事期間中は東西水路横断橋と呼ばれていた。

海の森大橋。開通前日の2020年6月19日に撮影(写真:大上 祐史)
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 同日には、お台場に隣接する有明地区と内側埋立地を結ぶ海底トンネル「東京港海の森トンネル」も開通した。「海の森大橋」と「海の森トンネル」を含む道路の正式名は「東京港臨港道路南北線および接続道路」と呼ばれる。

 知る人ぞ知る場所にできた新しい橋とトンネルへ、開通前日に訪れてみた。

(資料:東京都)
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 中央防波堤地区はごみの埋め立て処分によって造成されたエリアだ。海の森大橋が架かる内側埋立地と外側埋立地との間の水路は、東京五輪でカヌーやボートの競技が催される「海の森水上競技場」となる。臨港道路南北線は五輪の大会期間中、選手や関係者の輸送路として活躍する見込みだ。

 ただし、国土交通省と東京都が臨港道路南北線を整備したのは、五輪のためではない。「貨物ファースト」ともいえる別の目的があった。

 東京港の沿岸部にはコンテナ埠頭が多数ある。外側埋立地の一画でも、新たなコンテナ埠頭の整備が続いている。

中央防波堤外側埋立地で整備が進むコンテナ埠頭を西側から望む。写真中央やや左奥に海の森大橋のアーチが見える(写真:日経クロステック)
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 中央防波堤地区からは、臨海トンネルや東京ゲートブリッジがある東京港臨海道路を使って東西に移動できる。また、都心部に向かう南北方向の移動は、既存の青海縦貫線を利用すればよい。

 ところが、貨物取扱量の増加に伴って近年、トラックやトレーラーなどによる深刻な渋滞が周辺で発生。臨港道路南北線は、こうした都市の物流機能を裏方で支える混雑緩和の切り札として整備されたのだ。臨港道路南北線および接続道路の概要は以下の通り。

  • 開通区間:10号地その2地区(江東区有明4丁目)-中央防波堤外側地区(同区海の森3丁目地先)
  • 延長:約3.7km
  • 車線数:往復4~6車線
  • 事業期間:2014~20年度
  • 総事業費:約1900億円

 前後のアプローチ道路を含めたトンネル区間を国土交通省が、海の森大橋や東京港臨海道路との接続部などを東京都がそれぞれ整備した。工事期間は15年10月から19年11月。海の森大橋や海の森トンネルといった名称は、一般公募で19年12月に決定した。

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