米Analog Devices(アナログ・デバイセズ、ADI)は、車載D級(クラスD)オーディオアンプへの電力供給に向けた昇圧型DC-DCコンバーター制御ICを発売した ニュースリリース 。特徴は、外付けパワーMOSFETなどを含むD級オーディオアンプ回路全体の実装面積を、競合他社品を使った場合に比べて約36%小型化できることにある。最大スイッチング周波数を2.1MHzと高い値に設定したことで、小型のコンデンサーやインダクターを使えるようになった。D級オーディオアンプのほか、液晶パネル用バックライトの駆動にも使える。具体的な応用先は、車載オーディオアンプや、車載インフォテインメント機器などである。

D級アンプへの電力供給に向けた昇圧型DC-DCコンバーター制御IC
D級アンプへの電力供給に向けた昇圧型DC-DCコンバーター制御IC
(出所:Analog Devices)
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 新製品には、ゲート駆動電圧をユーザーが設定できるという特徴もある。設定範囲は+5.5〜10V。「一般的な製品ではゲート駆動電圧は固定だが、新製品はユーザーの回路に合わせてゲート駆動電圧を調整できる。例えば、ゲート駆動電圧を高めに設定すれば、しきい値電圧(VTH)が高いパワーMOSFETが使えるようになる。こうしたパワーMOSFETは、オン抵抗が小さく、ゲート容量が少ないので、D級オーディオアンプの変換効率を高められる。一方、+5.5Vと低い電圧に設定すれば、GaN FETも使える」(同社)。このほか、入力電流に対する電流制限ブランキング時間の設定も可能である。

 新製品の型番は「MAX25203」。デュアルフェーズ(2相)動作が可能である。同期整流方式を採用した。入力電圧は+4.5〜42V。入力の電力源には、車載バッテリーを想定する。一度起動すれば、入力電圧が最小+1.8Vに低下しても、動作を続けられる。出力電圧は+12〜65Vの範囲でユーザーが設定可能だ。出力電圧の誤差は±1.5%。最大出力電力は70Wと大きい。スイッチング周波数は220k〜2.1MHzの範囲でユーザーが設定できる。

新製品の応用回路例
新製品の応用回路例
(出所:Analog Devices)
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 スペクトラム拡散クロック技術を採用したため、放射電磁ノイズ(EMI)を抑えられるとする。I2Cインターフェース経由の動作診断機能や、パワーOKモニター機能、低電圧ロックアウト機能、サイクル・バイ・サイクルの電流制限機能、サーマルシャットダウン機能などを備える。シャットダウン時の消費電流は5μAと少ない。パッケージは32端子TQFNで、サイドウェッタブル(ウェッタブルフランク)構造を採る。動作温度範囲は−40〜+125℃と広い。すでに量産出荷を始めている。価格は明らかにしていない。応用開発向けに評価ボード「MAX25203EVKIT」を用意している。