大同特殊鋼は、電磁波ノイズの抑制効果を持つパーマロイ箔「STARPAS」のラインアップに、強磁界に対応する新製品「STARPAS-DF42N」を追加した(図1)。磁気飽和しにくい材料(高飽和磁束密度材)を箔に加工し、交流における強磁界向けの磁気シールド材とした(図23)。成長が期待されるパワーエレクトロニクスなどへの適用を見込む。

図1 STARPAS-DF42Nの外観
図1 STARPAS-DF42Nの外観
コイルまたはシートで提供する。(出所:大同特殊鋼)
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図2 高周波における箔化の効果
図2 高周波における箔化の効果
薄くすると、高周波でも磁気ノイズ抑制効果を維持できる。(出所:大同特殊鋼)
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図3 製品別の特性比較
図3 製品別の特性比較
従来品「STARPAS-PC2S」は高感度制御に、新製品「同DF42N」は大電流が発生する用途に向く。(出所:大同特殊鋼)
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* 大同特殊鋼のニュースリリース: https://www.daido.co.jp/about/release/2022/0117_permalloy.html

 パーマロイ箔は、軟磁性材の中で比透磁率〔真空の透磁率(4π×10-7H/m)に対する相対比率〕が最も高い鉄ニッケル(Ni)系の合金。新製品は、Niを42%含有する高飽和磁束密度材「DF42N」を厚さ10μ~30μmに箔化したものだ。飽和磁束密度は800A/m相当で1.4Tと、同社の高透磁率材「MEN PC-2S」の2倍とする。

 同社によると、車載機器や家電製品といったパワーエレクトロニクスの適用が進む用途では、半導体のスイッチング周波数が高くなっている上、大電流を扱う傾向にある。加えて制御用半導体でも、プロセスの微細化に伴ってトランジスタ数が増加し、電流が増える傾向にあるという。そのため、これらの機器には、高周波で大電流による電磁波ノイズが発生しやすいという課題があり、こうした環境でも機能するシールド材のニーズが高まっている。

 だが、MEN PC-2Sを材料とする従来品「STARPAS-PC2S」を用いた高透磁率のシ-ルド材は、約10A/m以下の小さい磁界では高いシ-ルド効果を有するものの、それ以上の強磁界では材料が磁気飽和してしまう。強磁界に対応するには、シールド材の体積を増やさなければならなかった。

 それに対してSTARPAS-DF42Nは、50A/m程度の磁界で材料の比透磁率が最大となり、100A/m程度までの磁界でシールド効果が期待できる(図4)。同社は有限要素法(FEM)によるシミュレーションを実施し、強磁界においても印加磁界による磁気シ-ルド性の維持を確認した(図5)。さらに、従来品と同じく厚さ30μm以下に箔化することで、交流で発生する渦電流を抑え、高周波においても相対的に高い透磁率を維持できるようになった。

図4 製品別の適用磁界の範囲
図4 製品別の適用磁界の範囲
新製品は、従来品に比べて使用できる磁界の範囲が広い。(出所:大同特殊鋼)
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図5 磁気シールド性の比較
図5 磁気シールド性の比較
強磁界でもシールド効果を維持する(出所:大同特殊鋼)
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 STARPAS-DF42Nのラインアップは、板厚が10μ/20μ/30μmの3種類。それぞれ、100kHzの比透磁率は1400/1700/1500、1MHzでは1300/1200/800とする。幅100mm×長さ100m当たりの質量は0.8/1.6/2.4kgで、磁気シールドの対象となる機器の軽量化も図れる。

 コイルやシートの形状で提供し、ユーザーはさまざまな形への打ち抜き加工が可能。板幅は100mm以下で、テープ付きやラミネート品の他、従来品などを併用した積層シートとしても供給する。耐久性も高いので、電磁波ノイズが発生するデバイスや、ノイズの影響を避けたい機器に貼り付けやすいという。

 同社はSTARPAS-DF42Nを、「第36回ネプコンジャパン」(22年1月19~21日、東京ビッグサイト)に出展する。