米マイクロチップ(Microchip Technology)は、耐放射線性能を強化した、Ethernet PHY IC「VSC8541RT」とArm Cortex-M3ベースMCU「SAM3X8ERT」を発表した(ニュースリリース)。人工衛星や宇宙船、宇宙ステーションといった宇宙アプリケーションでもEthernetの需要が高まっている状況に応えた。

今回の新製品と応用イメージ
左下のチップが耐放射線性能を強化したEthernet PHY IC「VSC8541RT」で、右上のチップは耐放射線性能を強化したArm Cortex-M3ベースのMCU「SAM3X8ERT」。(出所:Microchip)
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 同社は商用の既製品(Commercial Off-the-Shelf:COTS)をベースにした、放射線耐性が高い製品を開発・提供している(製品紹介のページ)。COTSと放射線耐性を高めた製品はピン互換で、開発時にはCOTSや、COTSベースの開発キットを利用できたり、COTS向けのソフトウエアを活用できるといった利点がある。今回の2つの新製品も、COTSの放射線耐性を高めた製品である。すなわち、VSC8541RTは商用の「VSC8541」の、SAM3X8ERTは、商用の「SAM3X8E」の放射線耐性を高めた製品に相当する。

 VSC8541RTは、銅線を使う10/100/1000BASE-T Ethernet用の1ポートPHYである。MACインターフェースはGMIIとRGMII、MII、RMIIに対応する。ラッチアップ耐性は最大78MeV、TID(Total Ionizing Dose)は最大100kRadであることを確認済みという。パッケージは耐放射線強化を施したプラスチック製の68ピンVQFNと、耐放射線強化を施したセラミック製の68ピンCQFPを用意した。VSC8541RTは現在、サンプル出荷中である。VSC8541RTと同じ放射性耐性でパッケージも同じで、10/100BASE-T(1000BASE-Tはサポートしない)Ethernet用の「VSC8540RT」も用意している。

「VSC8541RT」の応用回路(上)と内部の機能ブロック図(下)。Microchip の図。
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 SAM3X8ERTは、最大84MHz動作のArm Cortex-M3と、512Kバイトでデュアルバンクのフラッシュメモリー、100KバイトのSRAM、12ビットA-D変換器、12ビットD-A変換器、10/100BASE-T Ethernet用のMAC、2チャネルのCANコントローラーなどを集積する。ラッチアップ耐性は最大62MeVで、TID(Total Ionizing Dose)は最大30kRadであることを確認済みという。パッケージは耐放射線強化を施したプラスチック製またはセラミック製の144ピンQFPである。現在、量産中。

「SAM3X8ERT」の概要、写真、機能ブロック図。Microchip のイメージ
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