ルネサス エレクトロニクスは、モーターのローター(回転子)の位置検出に向けて、誘導型位置センサーICを発売した(ニュースリリース)。プリント基板に作り込んだCu配線パターンによるコイルをセンシング素子として利用して、ローターの位置を検出する。同社は「インダクティブポジションセンサ」と呼ぶ。車載半導体ICの品質規格「AEC-Q100グレード0」に準拠する。新製品を1つ使えば自動車の機能安全規格「ISO26262」のASIL-Cに、2つ使えばASIL-Dに準拠できる。トラクションモーターや電動パワーステアリング、スタータージェネレーターなどに向ける。

車載モーター制御に向けた誘導型位置センサーIC
(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 同社によると、新製品には3つの特徴がある。1つ目は位置検出の誤差がフルスケールの最大±0.1%と小さいこと。2つ目は、磁石を使わないため、周辺磁界に対する高い耐量を備えていること。3つ目は、検出対象に応じてプリント基板のコイルパターンを最適化できることである。すなわち、設計の柔軟性が高いという。例えば、コイルの配置位置はシャフトの軸端(オンアクシス)と、軸の周囲(オフアクシス)のどちらでも構わない。

 プリント基板に作り込む3つのコイルのうち、1つは送信用(トランスミッター)、残る2つは受信用(レシーバー)である。送信用コイルに励起電流を流すと磁界が発生する。一方、受信用コイルでは、この磁界による電磁誘導の効果で2次電圧が発生する。送信用コイルと受信用コイルの間にローター(金属ターゲット)を配置しておけば、ローターが回転することで2次電圧に変化が生じるため、これを測定することでローターの位置を検出できる。これが、同社のインダクティブポジションセンサの動作の仕組みである。

新製品への入力信号と出力信号
(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 新製品の型番は「IPS2550」。モーターの回転数は最大60万rpmに対応する。検出結果はアナログ信号で出力される。出力信号形式は、サイン/コサイン信号の差動形式と、サイン/コサイン信号のシングルエンド形式のどちらかを選択できる。新製品の動作診断と各種パラメーターの設定に向けてI2Cインターフェース回路を集積した。パッケージは、実装面積が4.4mm×5.0mmの16端子TSSOP。動作温度範囲は−40〜+160℃。すでに販売を始めている。1000個購入時の参考単価は4.76米ドル(税別)からである。応用開発向けに、プリント基板に作り込むコイルパターンの設計に向けたツールや、評価キット「IPS2500STKIT」を提供する。