島津製作所は、航空機や自動車などの製造・整備における検査向けとして超音波光探傷装置「MIV-500」を発売した(ニュースリリース)。物体の超音波が伝搬する様子を撮像する同社の技術「超音波光探傷」を用いて、検査対象物の表面近傍の欠陥(剥離、亀裂、空隙など)を非破壊で検出、可視化する。

図1 超音波光探傷装置「MIV-500」の構成例
近赤外線レーザー照明と干渉光学系を備えた「カメラユニット」、「制御ユニット」、「振動子」から成る。振動子で検査対象物に超音波振動を与え、その振動の微細な変位をレーザー照明とカメラを使って撮像する。パソコンやカメラユニットの固定用治具などは汎用的なものでユーザー側が用意する。(写真:日経クロステック)
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 超音波光探傷は、振動子を使って検査対象物の表面に超音波を伝搬させ、その振動によって発生した表面の数μmほどの微小な変化を近赤外線レーザー照明とカメラで撮像する。具体的には、対象物に照射した近赤外線レーザーの反射光の位相差を、干渉光学系を備えたカメラで捉える。位相差が干渉縞(かんしょうじま)となって表れる。正常な場合は、表面の振動の様子がモアレ状の周期的な模様となって見えるが、表面近傍に亀裂や剥離、空洞などの内部欠陥があると、その箇所だけ模様が不連続となる。それを画像処理して欠陥を検出する。

図2 検査システムの構成
(出所:島津製作所)
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 代表的な非破壊検査技術としては「超音波探傷」が知られている。超音波の反射を利用して検査対象物の深さ方向に沿って内部の様子を可視化するもので、広く用いられている技術である。ただし、表面近傍が不感域となる、広範囲を一度に探傷できないといった難点がある。X線CT装置を使えば内部構造を一度に撮像できるが、設備が大がかりでコストがかかる。これに対し、今回開発した超音波光探傷装置は、20秒程度で手軽に広い表面を検査できる。加えて、目視や打音検査といった官能検査では難しかった欠陥の位置や形状の定量化が可能だ。塗膜の影響も受けないため、塗装を剥がさなくても表面欠陥が分かる。

図3 新技術と超音波探傷の比較
新技術では表面近傍の欠陥を面で検査する。これに対し、従来の超音波探傷は探触子から深さ方向の断面画像を得る。(出所:島津製作所)
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図4 欠陥検出のデモンストレーション
航空機などに使われるハニカムサンドイッチ材を検査した。上面の平板と内部のハニカム材の接着が剥離している箇所を検出し、カラーマップとして表示する。欠陥部では超音波の伝搬の仕方が変わるのをレーザーとカメラで捉えて可視化している。右は画像処理してカラーマップにしたもの。(写真:日経クロステック)

 加える超音波の周波数は20k~400kHz。検査対象によって調整する。撮影範囲(検査対象とカメラユニットの距離)は、撮像距離100cmの場合で400×600mm(対応曲率はR600mm以上)、撮像距離25cmの場合で100×150mm(同150mm以上)。撮像距離が短いほど検査解像度は高くなる。

 ただし、検出できるのは超音波の伝搬が影響する表面近傍の欠陥に限られる。金属の場合で表面から深さ5~6mm程度で、樹脂の場合はもう少し浅いという(材料や構造による)。従って、検査対象や欠陥の種類によって、超音波探傷装置やX線CT装置と補完しながら使うことになると同社はみている。価格は、800万円。今後1年で50台の販売を目標としている。

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