米Maxim Integrated(マキシムインテグレーテド)は、EV(HEVやPHEV含む)のバッテリー・マネジメント・システム(BMS)に向けた、電圧・電流・温度のモニタリング(データ取集)IC「MAX17852」を発売した(ニュースリリース)。このICを利用してBMSを構成することで、EVのバッテリーセルの電圧をバランスさせて、効率(いわゆる、電費)を向上させられる。

新製品「MAX17852」の応用回路例
新製品はバッテリーパック(図の右方)の電圧測定に加えて、モーターとバッテリーパックを接続するジャンクションボックス(図の左方)の電圧測定、さらに電流と温度も測れる。(出所:Maxim)
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 今回の新製品の特徴を、同社のTamer Kira氏(オートモーティブ製品事業部 エグゼクティブディレクター)がオンラインで語った。同氏が挙げた特徴は主に次の4つである。

オンライン取材を受けるTamer Kira氏
(出所:Maxim)
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 第1の特徴は新製品を使うことで、ISO26262 ASIL Dに準拠したBMSなどのシステムを構築できること(ユーザーの要望により、ASIL A/B/C準拠も可能)。機能安全性の担保に向けて、新製品は故障検出用回路ブロックを集積している。第2の特徴は新製品1つで、電圧(バッテリーセル電圧/バッテリーモジュール電圧など)、電流(ピーク電流)、温度が測定できること。新製品の集積度が高いため、ディスクリート部品で構成する場合に比べて最大で16%の小型化、20%のコスト削減を図れるとした。

新製品の機能ブロック図と特徴
(出所:Maxim)
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 第3の特徴は測定精度が高いこと。例えば、バッテリーセルの電圧測定時の誤差は2mV(5~40℃)。動作温度範囲全域(-40~+125℃)でも4.5mVと小さい。同氏によれば、計測データを異なる2つの方法で処理していることなどが高精度な測定に効いているという。具体的には、逐次比較型A-D変換器による処理と、コンパレーターによる処理を並行して行える。また、新製品に集積した電流センスアンプの利得検出誤差は0.3%と小さい。「0.4~0.5%の競合製品が多い」(Kira氏)。さらに、測定値間のタイミング整合性も高いとのことだった。第4の特徴はスケーラビリティーが高いこと。例えば、マイルドハイブリッドから、HEV/PHEV、EV(乗用車)、EVバス/トラックまで対応可できるという。

応用範囲は広い
新製品が対応可能な電圧やバッテリー容量は広範囲だとする。(出所:Maxim)
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 今回の新製品1つで、14のバッテリーセルの電圧(-2.5~+5V)を測定可能である。新製品は最大で32個をデイジーチェーン接続できる。32個つなげた場合448バッテリーセルまでのバッテリーモジュール/バッテリーパックをモニターできることになる。1セルが4Vだとすると、新製品1つで最大1792Vのバッテリーモジュール/バッテリーパックを扱える。さらに、この32個のデイジーチェーンを接続すれば、より高い電圧に対応できるとした。また、電流センスアンプの最大利得は256倍、分解能は5mAである。外部インターフェースとしてSPIとUARTをサポートする。このほかの新製品の特徴として、測定時間が短いこと、オン抵抗が小さいこと、シャットダウン時の消費電流が小さいことを挙げていた(下表参照)。

競合製品と比較
上から処理時間の例(A-D変換器動作時に電圧測定にかかる時間)、オン抵抗の例(バランシングスイッチのオン抵抗)、シャットダウン時の消費電流の例(シャットダウン時に電源端子が消費する電流)。(出所:Maxim)
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 MAX17852のパッケージは10mm×10mmの64ピンLQFP。動作温度範囲は-40~+125℃で、AEC Q100グレード1に準拠する。現在、量産出荷中で、1000個以上を一括購入したときのチップ単価は7.52米ドルである(米国における価格)。評価キット「MAX17852EVKIT#」を250米ドルで用意している。