三菱重工工作機械(本社滋賀県栗東市)は、工作機械向けモニタリングシステム「DIASCOPE」(ディアスコープ)を刷新し、2020年4月以降に販売するマシンに標準で搭載する(ニュースリリース)。全ての大型工作機械と歯車加工機、超精密加工機が対象。遠隔で収集したデータを稼働状況の把握や故障からの復旧などに生かし、安定稼働につなげる。

 新たなシステムでは、マシンに取り付けたセンサーや測定器などから収集したデータをエッジ処理するとともに、マシンの稼働情報をクラウド上のDIASCOPEサーバーに閉域通信網で送信する(図)。エッジとクラウドを使い分けることで、迅速かつ高効率なモニタリングが可能になるという。

図:「DIASCOPE」のイメージ(出所:三菱重工工作機械)
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 クラウドサーバーで収集した稼働状況については、ユーザーはパソコンやスマートフォンの画面でリアルタイムに閲覧できる。併せて画面上には、稼働実績の集計結果も13の分類で表示。稼働/停止だけでなく停止の理由も分類されるため、分析の手間を減らせる。同社製の工作機械だけでなく、工場内の各種制御機器や他社製機械の接続も可能で、ERP(Enterprise Resources Planning)やMES(Manufacturing Execution System)といった上位システムともつなげられる。

 トラブルが発生した場合は、同社のサポートセンターからクラウドサーバーを通じて工場内のマシンにアクセスして状態を把握。その情報を基にサポートセンターは、復旧などのサービスを提供する。これによりダウンタイムの短縮を図れる。サービス担当者の派遣が必要なケースでも、モニタリング情報に基づいて部品や機材を準備してから現場へ向かえるので、復旧までの時間を縮められる。

 収集したデータは、各種の診断機能にも用いる。例えば工具モニタリングでは、従来は使用時間や回数から人間が判断していた工具の磨耗状態をAI(人工知能)で自動診断する。このAIは、サーボモーターや主軸、振動情報を取得して学習。工具の摩耗をリアルタイムに把握し、適切なタイミングでの交換を可能にする。異常摩耗による加工不良を防ぐなど、品質管理にも利用できるという。その他、検査運転による診断をAIで自動化する機能なども用意している。

 さらに今後、マシンの操作盤やスマートフォンを介してユーザーとサポートセンターがコミュニケーションを取れるようにする。その他、各種情報を発信するポータルサイトや加工ネットワークサイトの開設など、さまざまなサービスを展開する予定だ。

 システムの刷新と併せて、メンテナンスサポート契約も見直し、従来の1年契約から種類を増やす。ユーザーは、サポート契約に基づく定期的なメンテナンスを受けることで、さらなる安定稼働を図れる。2016年に同契約を開始して以来、同社は約100社の約200台を対象にメンテナンスを実施しており、突発停止を約50%低減できているという。同社はさらに、人材育成によるサポートも展開する計画。具体的には、ユーザーの機械保全に関するスキルアップを支援するプランなどを追加していく。