建設機械のアタッチメントを製造するタグチ工業(岡山市)は、遠隔操作が可能なアタッチメント着脱装置「ワンキャッチ」を発売した(図1)。これまで人手で実施していたアタッチメントの装着と取り外しを、新製品によって自動化できる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙探査イノベーションハブが実施する研究提案募集に採択されて研究を進めてきたものを実用化した。

図1:アタッチメント着脱装置「ワンキャッチ」
(出所:タグチ工業/JAXA)
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 一般に油圧ショベルは、「掘る」「はさむ」「割る」といった機能を持つアタッチメントを装着・交換して、さまざまな用途に対応する。アタッチメントはショベルの先端に直接取り付けられており、一般に装着・交換作業を技術者が担っている。新製品はショベルとアタッチメントの間に組み込むコネクターの役割を果たし、誰でも着脱できるようになる(図2)。

図2:ワンキャッチの取り付け位置
(出所:タグチ工業/JAXA)
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 新製品は「固定側フック」と「可動側フック」の2つのフックを備えており、それらが独立して動く(図3)。リモコンでそれぞれのフックを操作し、アタッチメントのアーム側とリンク側に設けた取り付けピンに引っかけて装着する(図4)。アタッチメントを取り外す際は、両フックを取り付けピンから外す。安全性向上のために、アタッチメントの脱落を防ぐ「オートロック機構」も装備(図5)。可動側フックが外れても固定側フックのみでアタッチメントを保持できるという。

図3:2つのフック
(出所:タグチ工業/JAXA)
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図4:ワンキャッチの自動着脱イメージ
(出所:タグチ工業/JAXA)
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図5:固定側フックのみによる保持
(出所:タグチ工業/JAXA)
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 今回のプロジェクトのテーマは「遠隔操作およびアタッチメントの自動着脱可能な軽量建機システムの開発と実地検証」。同社は東京農工大学と共に、JAXAの宇宙探査イノベーションハブの第3回提案募集に応募し、採択された。宇宙での利用としては、月面に拠点を建設する際の整地や運搬、積み込み、掘削といった作業への適用を想定している。2017年10月から、地球からの運搬コストを減らすための軽量化や、無人での作業を可能にする遠隔操作・自動化の実現、さらには電動化を目指して研究を進めている。遠隔操作化の一環として開発されたのが、新製品だ。

 同社によると、地上でも、高層ビルの内装解体工事の需要が増えているのに加えて、災害現場で作業するケースもあり、建機の軽量化とともに遠隔操作化のニーズが高まっている。新製品により、こうしたニーズに対応できる。

 その他、軽量化としては、同社は第1回提案募集で採択された「超軽量建機アタッチメントおよびブームの開発および実地検証」(16年3月~18年3月)でも東京農工大学と共同で研究を実施。炭素繊維強化樹脂(CFRP)でアームやブーム、エンジンカバーなどを試作している。1tクラスの油圧ショベルで、アームを19kgから7kgに、ブームを35kgから12kgに、エンジンカバーを15kgから5kgに、それぞれ軽くするなどし、油圧ショベル全体では210kgの軽量化を実現している。