米GaN Systemsと米Silanna Semiconductorは共同で、外形寸法が55.9mm×25.4mm×25.4mmと小さいUSB充電器向けリファレンスデザインを開発した。最大出力電力は65W。電力密度はケースに収めない状態で30W/(インチ)3に達する。GaN Systemsによると、「65W出力のUSB充電器では、業界で最も高い電力密度を達成した」という。USB Type-C PD(Power Delivery)規格に準拠する。入力電圧範囲は交流(AC)90〜265V(いわゆるユニバーサル入力)。出力電圧は+5V、+9V、15V、+20Vの中から選択可能だ。

5.6cm×2.5cm×2.5cmと小さいUSB充電器(コンデンサーやトランスを実装した面)
(出所:GaN Systems)
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5.6cm×2.5cm×2.5cmと小さいUSB充電器(ICやGaN FETを実装した面)
(出所:GaN Systems)
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 電力密度を高められた理由は、GaN Systemsの+650V耐圧GaNパワートランジスタ(GaN FET)「GS-065-008-1-L」と、Silannaのアクティブクランプ方式のフライバックコンバーター(ACF:Active Clamp Flyback)用PWM制御IC「SZ1130」を組み合わせたことにある。後者のアクティブクランプ方式は、ソフトスイッチング(電圧と電流がゼロのときにスイッチングする電源技術)を実現する電源回路方式で、高い変換効率が得られる。一方、前者のGaN FETはオン抵抗が225mΩ(標準値)と低く、全ゲート電荷量が1.6nC(標準値)と少ないため、導通損失とスイッチング損失の両方を削減できる。これらを組み合わせることで、スイッチング周波数が最大140kHzと比較的高いにもかかわらず、94%を超える変換効率を実現した。この結果、電力密度を高められたとしている。

 電力密度を高められた理由はもう1つある。一般に、アクティブクランプ方式のフライバックコンバーターは、ハイサイドスイッチ(アクティブクランプ用スイッチ)とローサイドスイッチが必要である。今回採用したSZ1130は、ハイサイドスイッチをICに集積した。このためローサイドスイッチとして機能するGaN FETを外付けするだけで済む。この分だけ、プリント基板上の実装面積の削減に貢献したという。

開発したUSB充電器の回路図
(出所:Silanna Semiconductor)
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 開発したUSB充電器用リファレンスデザインの型番は「SZ-RD12-65W」である。最大出力電流は3.25A。無負荷時(待機時)の消費電力は75mW(標準値)と少ない。放射電磁雑音(EMI)は少なく、EMI規制値である「CISPR22B」と「EN55022」をクリアできる。入力の低電圧ロックアウト(UVLO)機能や、ブラウンアウト保護機能、入力の過電圧ロックアウト機能、IC内部の過熱保護機能、IC周囲の過熱保護機能、ピーク電流制限機能、過出力電力保護機能、出力の短絡保護機能を備える。

 すでにサンプル出荷を始めている。価格は明らかにしていない。