米Markforged(マークフォージド)の日本法人マークフォージド・ジャパン(東京・港)は、アルミニウム合金製以上の強度を持つ炭素繊維強化樹脂(CFRP)でできた製品を造形できる3Dプリンターの新モデル「FX20」を、「第33回 日本ものづくりワールド」(2022年3月16~18日、東京ビッグサイト)で発表した(図1)。

 新モデルは、同社におけるCFRP対応3Dプリンターの最上位機種で、最大造形サイズを大きくし、かつ造形速度を高めた。加えて、難燃性や耐熱性などに優れるスーパーエンジニアリングプラスチックであるポリエーテルイミド(PEI)系の材料「ULTEM9085」を使って造形できるようにし、飛行機の内装部品といった航空分野などへ利用の幅を広げた。

図1  CFRP対応の3Dプリンター「FX20」のモックアップ
図1  CFRP対応の3Dプリンター「FX20」のモックアップ
装置の大きさは幅1325×奥行き900×高さ1925mm。左右にある造形品の見本を置く台は除く。(出所:日経クロステック)
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 マークフォージドのCFRP対応3Dプリンターは、長い炭素繊維(以下、長繊維)を連続で製品の中に織り込み、その周りに母材となる樹脂を印刷していく製造方法であることが特徴だ(図2)。長繊維を使うため、造形した製品(以下、造形品)の強度が高い。これに対し、従来のCFRP対応3Dプリンターのほとんどは、母材の樹脂に短い炭素繊維(以下、短繊維)を混ぜた材料(フィラメント)を使って造形品を製造していた。短繊維を使用するため、造形品の強度は長繊維を使ったものよりも低い。

図2 試作部品の断面
図2 試作部品の断面
外周のやや光沢のある部分が炭素繊維。部品の外装と内部の格子構造は母材樹脂で造られている。(出所:日経クロステック)
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 新モデルは、ULTEM9085を母材とした長繊維CFRPでできた製品を造形でき、その曲げ強度は540MPaと高い。これに対し、母材のポリアミド(PA)にチョップドファイバーを混ぜた同社の短繊維CFRP「Onyx(オニキス)」を使った造形品は曲げ強度が71MPaにとどまる。新モデルで造形した長繊維CFRP製の製品は、6000系アルミ合金の曲げ強度である276MPaよりも2倍ほど高い。そのため、「金属代替材料としても利用できる」(マークフォージド・ジャパン日本統括責任者のトーマス・パン氏)。実際に同社の調査によると、顧客の72%が3Dプリンターで造ったCFRP製の造形品を金属部品の代替に使っている。工場における検査用の固定治具や産業用ロボットのハンド部分などを製作しているという。

 現在、同社のCFRP対応3Dプリンターは世界でおよそ1万施設に設置済みで、「今後5年間で10万施設への設置を目指す」(パン氏)。新モデルの価格は5000万円以下に抑えるという。