TDKは、静電気放電(ESD)保護機能を備えたノッチフィルターの新製品を2つ発売した ニュースリリース 。2つの新製品は、スマートフォンやタブレット端末、ワイヤレスイヤホン、AR/VR端末、スマートスピーカーといった、無線通信回路とオーディオ回路を備えた電子機器に向ける。こうした機器では「無線LAN(Wi-Fi)やBluetoothなどのRF信号がオーディオ回路に侵入して、スピーカーやイヤホンから不快な可聴音が発生することがある」(TDK)。機器のオーディオ回路で新製品を使えば、侵入したRF信号を除去できるため、快適に音声や音楽を聞くことが可能になる。さらに、ESD対策を施せる。「従来は、積層セラミックコンデンサーとESD保護ダイオード(過渡電圧サプレッサー)という2つの部品が必要だったが、新製品ならば1つの部品で済む」(同社)。

ESD保護機能を備えたノッチフィルターの新製品
ESD保護機能を備えたノッチフィルターの新製品
写真は、寸法が0402品の「AVRF041A150MT242」。(出所:TDK)
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 新製品は、同社のESD保護機能付きノッチフィルターの製品「AVRFシリーズ」に含まれる。AVRFシリーズの第1弾製品は19年に発売した。「これまでのところ、競合他社のノッチフィルターでは、ESD保護機能が付いた製品はない」(TDK)。同社はすでに同シリーズで7製品を市場投入しており、今回、新たに2製品を追加した。1つは従来よりも小型にした製品、もう1つは従来よりも高い周波数のRF信号を除去できる製品である。

ESD保護機能を備えたノッチフィルターの製品ラインアップ
ESD保護機能を備えたノッチフィルターの製品ラインアップ
今回の新製品はピンク色の枠で囲った2つである。(出所:TDK)
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 従来よりも小型にした新製品は、外形寸法が0.4mm×0.2mm×0.2mm(0402品)の「AVRF041A150MT242」である。これまでの最小品は、外形寸法が0.6mm×0.3mm×0.3mm(0603品)だった。除去可能なRF信号の周波数は2.4GHzで、その周波数での挿入損失は−20dB。2.4GHz帯を利用する無線LANやBluetoothに向けた対策に使える。

2つの新製品の主な仕様
2つの新製品の主な仕様
(出所:TDK)
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 もう1つの新製品は、除去可能なRF信号の周波数が5.3GHzと高い「AVRF061D2R4ST532」である。AVRFシリーズでは5.3GHz品は今回が初めて。5GHz帯を利用する無線LANに向けた対策に使える。外形寸法は0.6mm×0.3mm×0.3mm(0603品)。5.3GHzでの挿入損失は−15dBである。

新製品の挿入損失-周波数特性
新製品の挿入損失-周波数特性
除去可能なRF信号の周波数が5.3GHzと高い「AVRF061D2R4ST532」の挿入損失-周波数特性である。(出所:TDK)
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 ESD耐圧は2製品どちらも±8kVを確保しており、「IEC 61000-4-2レベル4」規格に準拠する。すでに量産を始めている。サンプル価格は16.5円(税込み)。量産規模は、9製品すべて合わせて2000万個/月を予定している。24年には3000万個/月に引き上げる計画である。

ZnOの材料特性を利用して、ESD保護を実現

 新製品を含めてAVRFシリーズの各製品は、半導体セラミック材料であるZnO(酸化亜鉛)と金属電極を交互に積み重ねた積層型素子である。等価回路は、等価直列抵抗(ESR)と等価直列インダクタンス(ESL)、コンデンサー(静電容量)のRLC直列回路になる。すなわち、このRLC直列回路の共振周波数に相当するRF信号だけを除去することができる。

 ESD保護機能は、ZnOの材料特性を利用する。ZnOは、印加電圧が高くなると、抵抗値が増大する特性を持つ。ESDで発生した過電圧が印加されると、抵抗値が極めて高くなるため、後段の回路をESDから保護できる。

AVRFシリーズ製品の内部構造
AVRFシリーズ製品の内部構造
(出所:TDK)
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