新日本無線は、負荷容量が1000pF(1nF)と大きくても発振しないオペアンプICを発売した(ニュースリリース)。利得帯域幅積(GB積)は20MHz(標準値)と広い。いわゆる高速オペアンプICである。「一般に、高速オペアンプICは発振しやすいというデメリットがある。しかし新製品は負荷容量が1000pFと大きくても発振しないため、後段のA-D変換器ICなどを接続する配線パターン設計に対する制約が緩和されると同時に、発振防止部品の外付けが不要になる」(同社)という。IoT機器用センサーの増幅回路や、ケーブルドライバー回路、フィルター回路、A-D変換器ICの前段アンプ回路、フォトダイオード用アンプ回路などに向ける。

1000pFの負荷容量でも発振しないオペアンプIC
(出所:新日本無線)
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位相余裕とGB積の負荷容量依存性
左図は、位相余裕の負荷容量依存性である。負荷容量が1000pFと多くても25度程度の位相余裕を確保できる。右図は、利得帯域幅積(GB積)の負荷容量依存性である。負荷容量にかかわらず、GB積は20MHz程度で変化しない。(出所:新日本無線)
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 今回同社は、新しい位相補償回路技術「Enhanced C-Drive」を開発し、これを適用することで1000pFの負荷容量でも発振しない高速オペアンプICを実現した。同社によると、「これまでも競合他社から、負荷容量に応じて第1の極(1st Pole)の周波数を低くし、発振に対する耐性を持たせたオペアンプICが製品化されていた。しかし、第1の極の周波数を低くすると、GB積が狭くなるという欠点があった。そこでEnhanced C-Drive技術では、第1の極の周波数は低くせずに、負荷容量に応じて第2の極(2nd Pole)とゼロ点を調整することで発振を防止した」という。

 新製品には、このほかにも特徴がある。入力換算雑音電圧密度(ノイズ)が6nV/√Hz(10kHzにおける標準値)と低く、入力オフセット電圧の温度ドリフトが0.5μV/℃(標準値)と小さいことである。「入力換算雑音電圧密度は、GB積が20MHzのオペアンプICでは業界で最も低い値を達成した」(同社)という。この結果、入力換算雑音電圧密度と温度ドリフトに起因する入力オフセット電圧(Vio)の変動幅を極めて小さく抑えられる。「12ビットA-D変換器ICの分解能(ビット数)をフルに使い切るには、入力オフセット電圧の変動幅を610μVpp未満に抑えなければならない。新製品は、この610μVppを大きく下回ることができる」(同社)という。

入力換算雑音電圧密度と温度ドリフトによる入力オフセット電圧の変動
新製品は、入力換算雑音電圧密度(ノイズ)が6nV/√Hzと低く、入力オフセット電圧(Vio)の温度ドリフトが0.5μV/℃と小さい。このため。これらによる入力オフセット電圧の変動幅を低く抑えられる。12ビットA-D変換器ICのビット数をフルに活かせる610μVppを大きく下回る。(出所:新日本無線)
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 新製品の型名は「NJU77582」である。オペアンプ回路を2回路集積したデュアルチャネル品。電源オフ時に信号が入力されても、その信号をオペアンプ回路内部に通さない入力トレラント機能を搭載した。従って、電源オフ時の出力電圧は常にグラウンド(GND)レベルを保ち続けるため、後段に接続したICなどにダメージを与えない。このほかの主な特性は下表の通りである。

新製品の主な特性
(出所:新日本無線)
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 パッケージは、8端子VSP、8端子ESON、8端子SOPを用意した。すでに8端子VSP封止品と8端子ESON封止品は量産出荷とサンプル出荷を始めている。8端子SOP封止品は現在サンプル出荷中で、量産はまだ始めていない、サンプル価格はいずれも80円である。

 このほか、オペアンプ回路を1個集積したシングルチャネル品「NJU77580」と、4個集積したクアッドチャネル品「NJU77584」を製品化する予定である。シングルチャネル品は5端子SOT-23パッケージ封止。すでにサンプル出荷を始めている。量産開始時期は未定。サンプル価格は60円である。クアッドチャネル品は14端子SSOP封止。現在、開発を検討中という。