富士通は、人工知能(AI)モデルを利用した加工品質の維持とAIモデルのライフサイクル管理を支援するソリューション「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA 現場品質AI 運用管理パッケージ」(以下、現場品質AI)を2021年3月26日から販売する。研削や切削などの工程において加工品質をリアルタイムに予測するAIモデルを構築するとともに、同モデルを専用サーバーに導入し、設備から取得したセンシングデータと構築したAIモデル、AIモデルによる予測結果を一元管理する。現場設備のそばに設置するエッジデバイスごとにAIモデルを導入するのに比べて、AIモデルの運用にかかる手間とコストを減らせる。

* 富士通のニュースリリース:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2021/03/23.html

 現場品質AIは、AIモデルの構築・導入を支援する「AI活用コンサルティングサービス」「モデル作成支援サービス」、AIモデルの運用を支援する「運用管理パッケージ」「定期支援サービス」などから成る(図)。同社が持つ製造現場でのIoT(Internet of Things)・AI活用ノウハウを生かし、AIの導入に向けたコンサルティングからAIモデルの構築、運用管理パッケージのセットアップ・カスタマイズ、AIモデルの精度確認・再作成まで、一括して支援する。

図:「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA 現場品質AI 運用管理パッケージ」(現場品質AI)の全体イメージ
(出所:富士通)
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 AIによる品質予測を実現するために、設備のセンシングデータから特徴量を抽出し、機械学習などでAIモデルを構築する。設備に関する同社の知識とデータ分析技術により、高精度なAIモデルを構築できるという。

 AIモデルの構築と運用には、エッジデバイスから独立した専用サーバーを利用する。一般に、AIモデルの構築時はRやPythonといった汎用的なプログラミング言語を用いる一方で、エッジデバイスへAIモデルを導入する際は、実行するための動作環境を個別に用意しなければならない。専用サーバーなら、RやPythonで開発したAIモデルをそのまま導入でき、必要な処理能力に合わせてサーバー構成を変えられるので、AIモデルの導入効率が高まり、導入・運用コストを抑えられる。

 さらに、専用サーバーに蓄積された予測結果を評価し、予測精度が維持されているか否かを常に監視する。これにより、AIモデルのチューニング時期を判断でき、精度の維持が可能になる。

 製造現場にAIモデルを適用するには、現場に点在する各種設備のデータを収集してリアルタイムに処理する必要がある。そのため従来は、設備の近くにエッジデバイスを置いてAIモデルを導入し、処理するのが一般的だった。この場合、エッジデバイスごとにAIモデルの開発手法を最適化した上で、複数の開発環境を維持する必要があり、一元管理が難しい。

AIモデルの予測精度をメンテナンス

 加えて、「設備の経年劣化や環境変化に伴ってAIモデルの予測精度が低下する場合がある」(同社)ため、定期的に精度を確認し、精度が落ちていた場合はAIモデルの再学習とエッジデバイスへの再導入を実施しなければならない。こうした手間がかかるため、AIモデルの導入・運用コストが増大するという課題があった。そこで現場品質AIでは、AIモデルの運用の煩雑さを解消し、導入・運用コストの低減を図った。

 現場品質AIの開発には、同社とSUBARUによる実証実験の成果も生かした。この実験は、エンジン用カムシャフトの研削工程にAIモデルを導入し、全てのワークについて品質を保証するもの。具体的には、研削装置から取得した振動などのデータから加工品質をリアルタイムに推測し、良否を判定する。この実証などを通して「AIモデルの経年劣化」(同社)、すなわち活用過程において精度が低下する現象が分かり、その知見を元にAIモデルのライフサイクル管理を実現したという。

 運用管理パッケージを事業所単位で利用する場合の価格は、1事業所当たり月額6万4800円(税別)。設備単位での利用では、月額3万6000円(同)となる。その他のサービスの費用は、個別見積もりによる。