ザインエレクトロニクスは、小型PCボード「Raspberry Pi」(通称、ラズパイ)とカメラモジュールとの接続距離を最大20mに延ばせるケーブル延長キットを発売した(ニュースリリース)。これまでラズパイ本体とカメラモジュールとの接続にはフラット・フレキシブル・ケーブル(FFC)が使われており、両者の間は20cm〜30cm程度しか離せなかった。このため、「従来はラズパイとカメラモジュールを組み合わせたIoTシステムの用途は、大幅に限定されていた」(同社)という。

ラズパイとカメラの接続距離を最大20mに延ばせるケーブル延長キット
(出所:ザインエレクトロニクス)
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 産業用IoTシステムや農業用IoTシステムなどに向ける。同社によると、「例えば、農業向けIoTシステムでは、ケーブル長が最大20cm〜30cmでは、棚の上で育てるぶどうや桃などの監視に使うのは難しい。棚の高さは2m程度が一般的なため、地上に置いたラズパイと、棚の上に設置したカメラモジュールとの間を接続できないからだ。ラズパイとカメラモジュールを一体化して棚の上に取り付ける対処方法もあるが、設置可能な場所がそれほど多くない。新製品を使えば、こうした課題を一気に解決できる」という。

 同社独自の高速インターフェース技術「V-by-One HS」を利用することで、接続距離を延ばした。今回のキットに含まれる送信ボードをカメラモジュールに接続し、ラズパイにはキットの受信ボードを接続する。送信ボードには、MIPI CSI-2信号をV-by-One HS信号に変換するトランスミッターIC「THCV241A」を搭載しており、受信ボードにはV-by-One HS信号をMIPI CSI-2信号に戻すレシーバーIC「THCV242」を載せた。送信ボードと受信ボードの間は、イーサネット・ケーブル「CAT5e」で結ぶ。標準的なCAT5eケーブルを使った場合の伝送可能距離は15mだが、「シールドを施した品質の高いCAT5eケーブルを使えば最大20mの伝送が可能になる」(同社)という。MIPI CSI-2信号とV-by-One HS信号の変換にはほとんど時間がかからないため、カメラモジュールで撮影した映像をリアルタイムでラズパイに送信できる。

新製品を適用した場合のデータ伝送システム構成
(出所:ザインエレクトロニクス)
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 対応するラズパイのモデルは、「Raspberry Pi 4 Model B」と「Raspberry Pi 3 Model +」。カメラモジュールは、「Raspberry Pi High Quality Camera」(HQカメラ)と「Raspberry Pi Camera Module V2」(V2カメラ)が使える。なお、「Raspberry Pi Camera V1.3」(V1.3カメラ)については、動作可能なモードが限定されるが、一部のモードで使用できる。

 新製品の型番は「THSER101」。送信ボードと受信ボードのほか、2本のFFC、CAT5eケーブル、ラズパイに受信ボードを固定する部材を同梱した。ソフトウエアの開発は一切不要である。カメラモジュールの各種データを読み取り、伝送に必要なパラメーターを自動的に設定する機能を搭載したからだ。「このため、購入すればすぐに使い始めることができる」(同社)という。すでにインターネット通販サイトで販売を始めている。価格は6672円(2021年3月25日時点)である。