伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、+650V耐圧のGaNトランジスタ(GaN FET)を内蔵したスイッチング電源(AC-DCコンバーター)ICを発売した ニュースリリース 。同社がGaN FET内蔵スイッチング電源ICを製品化するのは今回が初めて。新製品の応用先は、ACアダプターやUSB-PD充電器、家電機器用スイッチング電源、LED照明器具などである。

+650V耐圧GaN FETを内蔵したスイッチング電源IC
+650V耐圧GaN FETを内蔵したスイッチング電源IC
(出所:STMicroelectronics)
[画像のクリックで拡大表示]

 Si製パワーMOSFETを使う場合に比べて、新製品はスイッチング電源を高効率化し、小型化できる。STMicroが作成した45W出力のスイッチング電源リファレンスボードは外形寸法が70mm×30mm×20mmと小さく、変換効率は最大92%が得られる。同社によると「Si製パワーMOSFETを使った45W出力のスイッチング電源リファレンスボードと比較すると、変換効率は3〜4%向上し、出力電力密度は2.8倍に高まった(体積は1/2.8に減らせた)」という。

新製品(VIPerGaN)を使ったACアダプターの構成例
新製品(VIPerGaN)を使ったACアダプターの構成例
新製品に、絶縁トランス(フライバックトランス)やフィードバック回路などを外付けすることでACアダプターを構成できる。(出所:STMicroelectronics)
[画像のクリックで拡大表示]

 新製品の型番は「VIPerGaN50」。構成可能な電源回路トポロジーは、フライバック方式。スイッチング素子は1個のGaN FETのみである。重負荷時は疑似共振(Quasi Resonant)モードで動作する。このためターンオン損失とEMI(放射電磁ノイズ)を低減できる。軽負荷時は、適応型バーストモードで動作し、スタンバイ時の消費電力は最大30mWに抑えられる。

新製品の内部ブロック図
新製品の内部ブロック図
スイッチング素子は、IC内の右上に見える、1個の+650V耐圧GaN FETだけである。その下方に見えるSi製のパワーMOSFETは電流検出用である。(出所:STMicroelectronics)
[画像のクリックで拡大表示]

 入力電圧範囲は交流85〜300V。交流85〜265Vのユニバーサル入力時の最大出力電力は50W。交流185〜265V入力時は75Wである。最大スイッチング周波数は240kHz(標準値)と高い。EMIを抑える周波数ジッター機能を搭載した。保護機能としては、入力と出力の過電圧保護機能や過負荷保護機能、ブラウンイン/ブラウンアウト保護機能、サーマルシャットダウン機能などを用意した。パッケージは、実装面積が5mm×6mmの16端子QFN。動作接合部温度範囲は−40〜+150℃。1000個購入時の参考単価は2.30米ドルである。