米Cirrus Logic(シーラス・ロジック)は、同社従来品と比較してピーク時のラウドネス(音の大きさ)を30%高められるD級(クラスD)オーディオアンプICを発売した(ニュースリリース)。同社によると、「新製品を使えば、エクスカージョン(スピーカーのコーンが静止位置から移動する直線距離)を増やせるため、ピーク時のラウドネスを高められる。この結果、ダイナミックレンジを広げられると同時に、ノイズと可聴域のアーチファクト(音声処理で付加された人工的なノイズ)を低減できる。コストをかけてスピーカーをアップグレードしなくても、音質を高められる」という。スマートフォンや、タブレット端末、携帯型ゲーム機などに向ける。

ピーク時のラウドネスを30%高めたD級オーディオアンプIC
(出所:Cirrus Logic)
[画像のクリックで拡大表示]

 ラウドネスを高められる理由は、H級(クラスH)動作の昇圧型DC-DCコンバーター回路を集積した点にある。この回路は、ICに入力されたオーディオ信号の振幅を監視しながら、D級オーディオアンプへの出力電圧がこの振幅を追跡するように、バッテリー(Liイオン2次電池など)からの入力電圧を昇圧する役割を担う。入力電圧の範囲は+2.5〜5.5Vで、出力電圧は最大+15Vと高い。

新製品の内部ブロック図
(出所:Cirrus Logic)
[画像のクリックで拡大表示]

 D級オーディオアンプとH級動作の昇圧型DC-DCコンバーター回路のほか、同社独自のDSPコア「Halo Core」を集積した。このDSPコアは音質改善向けアルゴリズムの実行のほか、スピーカー保護機能やバッテリーマネジメント機能、ボスコイルのインピーダンス監視機能、過熱保護機能、過大なエクスカージョンの保護機能などを担当する。バッテリーマネジメント機能には、同社の第2世代に当たる予測型入力電流制限(PICL:Predictive Input Current Limiter)アルゴリズムを採用した。

 新製品の型番は「CS35L45」。モノラル出力である。D級オーディオアンプの最大出力は6.8W(8Ω負荷接続、全高調波歪(ひず)み+雑音が1%のとき)。全高調波歪(ひず)み+雑音(THD+N)は−79dB(8Ω負荷接続、1W出力のとき)。オーディオ入力信号の形式はI2SもしくはTDM。サンプリング周波数は8k〜192kHzに対応する。D級オーディオアンプと昇圧型DC-DCコンバーター回路を合わせた変換効率は最大で88%に達するという。アイドル時の消費電流は43μWと少ない。パッケージは36端子ウエハーレベルCSP。動作温度範囲は−40〜+85℃。すでに量産出荷を始めている。価格は明らかにしていない。