TDKは、CAN FD(Controller Area Network with Flexible Data Rate)に対応したコモン・モード・フィルター(コモン・モード・チョーク・コイル)を発売した(ニュースリリース)。新製品は磁性材料に2本のラインを巻いた巻線コイルであり、CAN FDを構成する2本の伝送線(差動伝送線)に挿入して使用する。新製品を使うことで、外来ノイズが2本の伝送線に載ったり、グラウンド(接地)レベルが変動したりして発生するコモン・モード・ノイズによるEMI(放射電磁ノイズ)を低く抑えられる。

CAN FD対応の車載用コモン・モード・フィルター
(出所:TDK)
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 現在、車載機器で広く使われているCANのデータデータ伝送速度は1Mビット/秒。一方、今後普及が加速するCAN FDのデータ伝送速度はその8倍の8Mビット/秒と高い。新製品では、「この高速化に合わせて、モード変換特性とライン間容量という2つの特性を最適化した」(同社)という。前者のモード変換特性を最適化したことで、「IEC 62228-3」規格で定められたDCMR(Differential to Common Mode Rejection)のクラス3を大きな余裕度を持ってクリアできるようになったという。

モード変換特性(Ssd21とSsd12)
緑色が新製品の特性である。IEC 62228-3で定められたモード変換特性(DCMR)のクラス3(Class III)を大きく下回る。(出所:TDK)
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 後者のライン間容量は、周波数によって異なるが、約10pFである。CANに向けた同社従来品に比べると4p~5pF低減し、EMIを抑えやすくした。

ライン間容量特性
(出所:TDK)
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 新製品の型番は、「ACT1210D-101-2P」。外形寸法は3.2mm×2.5mm×2.5mm(いわゆる3225サイズ)である。車載用受動部品の品質規格「AEC-Q200」に準拠する。コモン・モード・インダクタンスは100μHで、その誤差は+50%/−30%。ディファレンシャルモード成分の透過特性(Sdd21)と、コモンモード成分の透過特性(Scc21)を下図に示す。主な特性は下表の通りである。

透過特性(Sdd21とScc21)
緑色が新製品の特性である。(出所:TDK)
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新製品の主な仕様
(出所:TDK)
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 使用温度範囲は−40~+150℃。「CANに向けた従来品と同様に、金属端子と伝送ラインの接続は熱圧着ではなくレーザー溶接にしたことで、使用動作温度を+150℃に高めた」(同社)。量産は2021年4月に開始する。量産規模は当初、月産6万個を予定している。サンプル価格は165円(税込み)である。