伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、最大200W出力の電源回路に向けたGaNモジュールを発売した。2個のGaNトランジスタ(GaN HEMT)で構成したハーフブリッジ回路と、それらを駆動するSiゲート・ドライバー・チップを1パッケージに収めたSiP(System in Package)品である。2個のGaNトランジスタのオン抵抗はどちらも225mΩ(標準値)。いわゆる対称(symmetric)型のハーフブリッジ回路だ。ソフトスイッチング方式のAC-DCコンバーター(スイッチング電源)などに向ける。同社によると、「新製品を使えば、変換効率が高くなり発熱量を削減できる。これで、小型の磁性部品やヒートシンクで済むため、スイッチング電源ユニットやACアダプター、充電器などの小型軽量化が図れる」。

最大200W出力の電源回路に向けたGaNモジュール
(出所:STMicroelectronics)
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 新製品の型名は「MASTERGAN4」。同社のGaNモジュールファミリー「MASTERGAN」に含まれる製品である。すでに同社は、オン抵抗が150mΩ(標準値)のGaNトランジスタ2個で構成した対称型ハーフブリッジ回路とゲート・ドライバー・チップを収めた「MASTERGAN1」*1と、オン抵抗が150mΩ(標準値)と225mΩ(標準値)のGaNトランジスタ2個で構成した非対称型ハーフブリッジ回路とゲート・ドライバー・チップを収めた「MASTERGAN2」*2を製品化している。

 新製品のMASTERGAN4は、MASTERGAN1と同じ対称型ハーフブリッジ回路を採用する。ただしMASTERGAN1のGaNトランジスタと比べるとオン抵抗は高いものの、全ゲート電荷量は少ない。MASTERGAN1は2nC(標準値)だったが、新製品は1.5nC(標準値)である。その分だけ高速なスイッチング動作が可能になる。なお、「MASTERGAN3」は現在開発中である。オン抵抗が225mΩ(標準値)と500mΩ(標準値)のGaNトランジスタ2個で構成した非対称型ハーフブリッジ回路を採用する予定だ。

GaNモジュールの製品ロードマップ
(出所:STMicroelectronics)
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 今回採用したGaNトランジスタはノーマリーオフのエンハンストモードGaN HEMT。耐圧は+650Vである。最大ドレイン電流は6.5A。逆回復電荷量(QRR)はハイサイドとローサイドどちらもゼロである。ロジック信号入力の電圧振幅は+3.3〜15V。このため「ホール効果センサーICやCMOS IC(マイコンやDSP,FPGAなど)を直接接続できる」(同社)という。ブートストラップダイオードを内蔵した。ハイサイドスイッチとローサイドスイッチそれぞれに低電圧ロックアウト(UVLO)機能や、クロスコンダクションを避けるインターロッキング機能、過熱保護機能などを備える。

新製品の内部ブロック図
(出所:STMicroelectronics)
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 パッケージは、外形寸法が9mm×9mm×1mmの31端子QFN。動作温度範囲は−40〜+125℃。1000個購入時の参考単価は5.99米ドルである。評価ボード「EVALMASTERGAN4」を用意した。参考単価は87米ドルである。