イーソルは、同社のメニーコア対応リアルタイムOS「eMCOS(エムコス)」に仮想化機能を組み込んだ「eMCOS Hypervisor」を正式発表した(ニュースリリース)。同社はプライベートイベント「eSOL Technology Forum 2019」(2019年9月27日に東京で開催)において、ユーザーなどには先行して公開しており、デモンストレーションも行った(関連記事「メニーコア対応RTOSがLinux/Androidを統合制御、イーソルが「eMCOS」に新機能」)。

「eMCOS Hypervisor」の構成
イーソルの図
[画像のクリックで拡大表示]

 eMCOS Hypervisorを使うことで、RTOSとしての高いリアルタイム性や安全性を確保しながら、LinuxやAndroidなどの汎用OS(いわゆるリッチOS)も組み合わせたシステムの構築が可能になる。市場には、仮想化機能(ハイパーバイザー)を組み込んだRTOSが複数あるが、イーソルによれば、新製品には以下のような主な4つの特徴があるという。

 第1は、eMCOSが備えるスケジューリング機能をシステム全体で利用可能なことである。新製品は商用のフルPOSIX OS「eMCOS POSIX」に仮想化機能を組み込む形で実現したため、ロードバランシングや時間分離などといったeMCOSのスケジューリング機能を、同じハードウエアプラットフォーム上で稼働する汎用OSでも使うことができるという。

 第2は、汎用OSのブートシーケンスを容易にカスタマイズ可能なことである。汎用OSはゲストOSとして扱い、eMCOS POSIXプロセスとして起動されるため、ゲストOSのブートシーケンスは単なるプロセスの起動処理として記述できる。すなわち、シーケンシャルな起動、マルチコアで並行起動などを容易にカスタマイズできるとする。リアルタイム性や安全性の確保を犠牲にすることなく、複数のゲストOSを協調させ、かつ必要に応じて負荷分散を行いながら実行することが可能という。

 第3は、ドライバーを容易に移植できることである。Linuxが標準対応している「Virtioドライバー」をサポートしており、Linuxゲストを容易に移植できるとする。さらに、仮想マシンモニターがハードウエアのアクセスをフィルタリングしたりパススルーできるため、SoCに密結合されている固有のドライバーも容易に移植可能だという。

 第4は、誤動作や悪意のあるソフトウエアに対する堅牢性が高いことである。新製品のeMCOS Hypervisorのシステムは、権限の大きいハイパーバイザーおよびカーネル空間に組み込む仮想化機構を最小限とし、ユーザー空間の仮想マシンモニター上で大部分の処理を実行するように設計した。このため、ゲストOSおよび仮想マシンの異常によって、システム全体のクラッシュにつながるような致命的な故障が起こることはないという。