米Broadcom(ブロードコム)は、「Wi-Fi 7」対応の無線通信IC5製品のサンプル出荷を開始したと、2022年4月12日(現地時間)に発表した ニュースリリース 。スマートフォン向け、家庭(住宅)向け、エンタープライズ向けの5製品である。

サンプル出荷が始まった、Wi-Fi 7対応の無線通信IC
サンプル出荷が始まった、Wi-Fi 7対応の無線通信IC
(出所:Broadcom)
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 Wi-Fi 7はWi-Fi 6/6Eの次の無線LAN(Local Area Network)規格で、2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯という3つの周波数帯を使う日経クロステック編集部注1)

日経クロステック編集部注1)Wi-Fi 7は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が2024年5月の策定完了を目指して標準化作業中の無線LAN仕様「IEEE 802.11be Extremely High Throughput (EHT)」の別名、または業界団体Wi-Fi Alliance(WFA)の無線通信規格。現在はまだドラフトの第2版にすぎないが、ブロードコムを含む複数のベンダーが“完全準拠”の無線通信ICを発表している。

 チャネル幅は最大320MHzで、Wi-Fi 6/6Eの2倍になる。4096値QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)が可能で、Wi-Fi 6Eに比べてスループットが2倍以上になるとする日経クロステック編集部注2)

日経クロステック編集部注2)規格上の最大データ通信速度はWi-Fi 6Eの9.6Gビット/秒に対して、Wi-Fi 7では約46Gビット/秒超と約4.8倍になる。ブロードコムは実装上、または実利用環境ではそこまでのスループット向上にはならないと考えているもようだ。

 さらに、MLO(Multi-Link Operation)機能によって、複数のチャネルを使った通信が可能になる。例えば、5GHz帯と6GHz帯で同じデータを転送することで、データ転送の信頼性を向上できる。また、AFC(Automated Frequency Coordination)と呼ぶ周波数共用の機能によって、他の無線通信システムと使用周波数が競合しないようにする。

Wi-Fi 7の主要な特徴
Wi-Fi 7の主要な特徴
(出所:Broadcom)
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 サンプル出荷を始めた製品は次の5つ。スマートフォン向けの「BCM4398」、住宅向けの「BCM67263」と「BCM6726」、エンタープライズ向けの「BCM43740」と「BCM43720」である。5製品の主な仕様は以下の通り。

5製品の内訳
5製品の内訳
(出所:Broadcom)
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 BCM4398はスマートフォン向け無線通信ICで、Wi-Fi 7とBluetooth 5の両方に対応する、いわゆるコンボチップである。最大で2本のWi-Fi 7ストリームをサポートし、320MHzのチャネル幅に対応する。PHYの最大レートは6.05Gビット/秒である。4096値QAMやクライアントMLOが可能。IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)およびWFA(Wi-Fi Alliance)のWi-Fi 7仕様と、Bluetooth Denver仕様に準拠している。

 BCM67263は住宅のWi-Fiアクセスポイント向けの無線通信ICである。6GHz帯のみを扱うRF(Radio Frequency)回路を1つ備える。最大で4本のWi-Fi 7ストリームをサポートし、320MHzのチャネル幅に対応する。PHYの最大レートは11.5Gビット/秒である。4096値QAMやMLOが可能。Wi-Fi 7仕様に準拠している。

 BCM6726も住宅のWi-Fiアクセスポイント向けの無線通信ICである。2.4GHz帯と5GHz帯、6GHz帯の3つを扱うRF回路を1つ備える。最大で4本のWi-Fi 7ストリームをサポートし、160MHzのチャネル幅に対応する。PHYの最大レートは5.75Gビット/秒である。4096値QAMやMLOが可能。Wi-Fi 7仕様に準拠している。

 BCM43740はエンタープライズWi-Fiアクセスポイント向けの無線通信ICで、2.4GHz帯と5GHz帯、6GHz帯の3つを扱うRF回路を1つ備える。最大で4本のWi-Fi 7ストリームをサポートし、320MHzのチャネル幅に対応する。PHYの最大レートは11.5Gビット/秒である。4096値QAMやMLOが可能。Wi-Fi 7仕様に準拠している。

 BCM43720もエンタープライズWi-Fiアクセスポイント向けの無線通信ICで、2.4GHz帯と5GHz帯、6GHz帯の3つを扱うRF回路を1つ備える。最大で2本のWi-Fi 7ストリームをサポートし、160MHzのチャネル幅に対応する。PHYの最大レートは2.88Gビット/秒である。4096値QAMやMLOが可能。Wi-Fi 7仕様に準拠している。