伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロ)は、放射線耐性を備えた電流リミッターIC「RHRPMICL1A」を発売した(ニュースリリース)。人工衛星などの宇宙用電子機器に搭載する回路を電源サージや過負荷などから保護する用途に向ける。同社によると、「欧州宇宙機関(ESA:European Space Agency)と仏国立宇宙研究センター(CNES:Centre National d’Etudes Spatiales)のサポートを受けて開発した」という。米国の国防兵站局(DLA:Defense Logistics Agency)が定める認定プログラム「QML-V」を取得済みである。

放射線耐性を備えた電流リミッターIC
STMicroelectronicsのイメージ
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 製造技術は、同社独自の「BCD6s-SOI」である。電流リミッター機能と電源スイッチ機能を1チップに集積した。ただし、pチャネル型パワーMOSFETは外付けで用意する必要がある。これまで、複数のディスクリート半導体チップで構成していた宇宙用途の回路を1チップに集積したため、「重量を最大で93%削減できる。実装面積については、20cm×20cmから5cm×5cmに減らせる」(同社)としている。もちろん、部品(BOM)コストの削減も可能だ。

 入力電圧範囲は+8.5〜90V。外付けのpチャネル型パワーMOSFETを駆動するゲートドライバー回路の駆動(ソース)電流は200mA(標準値)。トリップオフ時間は1.2ms(標準値)、リカバリー時間は112ms(標準値)。スイッチの遅延時間は90ms(標準値)である。3つの動作モードを用意した。電源サージや過負荷などの影響が比較的小さい負荷に対するラッチモードと、同影響が比較的大きい負荷に対する再トリガーモード、およびフォールドバックモードである。3つのモードの中から、用途に応じてユーザーが選択できる。

 放射線耐性は、トータル・イオン・ドーズ(TID)効果に対して最大100kRad、シングル・イベント・ラッチアップ(SEL)効果に対して78MeVを確保したとする。ハーメチック(気密封止)構造のFlat-20パッケージに封止した。重量は0.7g。最大動作接合部温度は+150℃。すでに販売を始めている。価格は明らかにしていない。