図研プリサイト(横浜市)は2020年5月11日に、技術・開発設計部門向けの原価企画支援システム「Design BOM」の供給を開始した。設計中の部品の3D-CADデータを基に、過去に手配実績のある似た形状の部品を検索し、その実績原価を出発点として原価企画活動を進められる。型番やスペックだけでなく3D形状での検索により、直観的に扱えるよう開発した。

 3D-CADのデータは、いったん軽量3Dデータ形式の「XVL」に変換した上で取り込む。XVLには形状情報に加えて部品やユニットの名称や品番、構成情報を
持たせられる。Design BOMはこれらの情報を基に、部品やユニットを名前や品番をあらかじめ並べた原価見積シートを作成する(図1)。技術者がこのシートに原価情報を記入し、合算して製品全体の目標原価を達成できているか、超過率はどのくらいかなどを把握できる。

図1 原価見積シートを自動作成
3D-CADからデータを読み込み、部品やユニットごとに原価を記入できるシートを作成する。(出所:図研プリサイト)
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 部品ごとの原価の見積もり方法は、類似した過去部品での実績値と比較検討する方法を想定。そこで、同社が以前から実用化している3D類似形状検索機能(関連記事)を応用して、類似部品を検索して実績値を取得する(図2)。原価見積もりの手法としては、コストテーブルをあらかじめ構築しておいて設計者が参照する方法もあるが、「類似部品の実績を参照する方が取り組みとして容易。一方で個人の知見によるバラつきが出やすいため、システムによって底上げが測れないかと考えた」(図研プリサイト代表取締役社長の尾関将氏)という。

図2 3D類似形状検索
同程度の大きさで形が似ている過去の部品を検索し、その原価の実績を表示する。その値を原価企画の出発点にできる。図の上「ZPM-4W-Cover」が設計中、中ほどの「ZPM-4S-Cover」「ZPM-3S-Cover」が過去の類似部品。下のカラー図は色分けした形状を重ね、差分を見せている。(出所:図研プリサイト)
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 部品やユニットの原価低減の検討を支援する機能として、原価に応じて3D形状に色を付けた表示も可能にした(図3)。優先的に検討すべき部品やユニットを選ぶのに利用できる。さらに原価見積シートを1次試作前、量産試作前などの段階で作成した際、各段階のシートを表計算ソフト「Excel」形式のデータで取りまとめておける。原価の推移をExcelでグラフ化するなどの活用ができるようにした(図4)。

図3 コストに応じた色分け表示
金額の大きい部品を中心に原価低減策を検討する際の検討に利用できる。(出所:図研プリサイト)
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図4 原価見積シートをExcelに出力してグラフ化
原価の推移や目標の達成度合いをグラフ化して見られる。(出所:図研プリサイト)
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 図研プリサイトはPLMツール「Visual BOM」を開発・販売しており、そこで開発した機能をベースに、XVLの取り込みや、Excelへの出力機能などを加えて原価企画支援に特化させた。全社の情報部門というより技術・開発設計部門による導入を想定している。そのため月額利用料金を20万円(税別)と抑え、初期費用なしとした。

 導入時のセットアップは「ユーザーが自ら実行して、すぐ利用を始められるようにした」(尾関氏)。3D類似形状検索機能を利用する場合は、過去の実績データをDesign BOMのデータベースに取り込む必要があるが、それも「ツールやマニュアルを整備した」(同氏)という。同社は今後、「ずいぶん先になるとは思うが」(同氏)、人工知能を組み込んで見積もりを自動化するなどの構想を持っている。