新日本無線は、5G(第5世代移動通信システム)対応のスモールセルに向けた単極双投(SPDT:Single Pole Double Throw)スイッチICを開発し、サンプル出荷を開始した(ニュースリリース)。新製品の特徴は、最大10Wと大きな電力を扱えると同時に、挿入損失を低く抑えた点にある。5Gで使用する2G〜6GHzの周波数帯域(Sub6)における挿入損失は、0.35〜0.45dB(標準値)と少ない。同社によると、「大きな電力が扱える競合他社品に比べると、挿入損失は半分以下であり、業界で最も少ない」という。

5Gスモールセルに向けたSPDTスイッチIC
(出所:新日本無線)
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 新製品のスモールセルにおける使い方は2つある。1つは、受信経路の保護用途。もう1つは、送受信経路の切り替え用途である。「これまで大電力を扱うスモールセルなどの送受信経路切り替え部には、電力損失を低減するために、挿入損失が低いRFサーキュレーターが使われていた。しかし、RFサーキュレーターはコストが高いなどの課題があった。今回の新製品を使えば、電力損失を低減できるとともに、コストを抑えられる」(同社)としている。

新製品の主な使い方
左図は、受信経路の保護用途。右図は、送受信経路の切り替え用途である。(出所:新日本無線)
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 新製品の型番は「NJG1817ME4」である。挿入損失は、3.85GHzにおいて0.35dB(標準値)、6.0GHzにおいて0.45dB(標準値)。アイソレーション特性は、3.85GHzにおいて27dB(標準値)、6.0GHzにおいて25dB(標準値)を確保した。

新製品の挿入損失特性とアイソレーション特性
(出所:新日本無線)
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 スイッチング速度は、最大値で350nsと短い。このため、「5Gのほか、無線LAN(Wi-Fi)などの高速な無線通信方式に対応できる」(同社)。静電気放電(ESD)保護素子を内蔵した。パッケージは、外形寸法が2.0mm×2.0mm×0.397mmと小さいWQFN12-E4である。「10Wに対応するSPDTスイッチICとしては、業界最小の実装面積である」(同社)という。新製品の主な特性は下表の通りである。量産は2021年7月に始める予定。サンプル価格は明らかにしていない。

新製品の主な特性
(出所:新日本無線)
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